紅葉狩り

「紅葉が綺麗だねvv」
久しぶりの日本の紅葉は寒波の襲来が例年より早かったせいか、まだ秋になったばかりのこの時期にしてはかなり赤かった。
遠くの山を眺めればすでにかなりの部分が赤や黄色に染まって、来て良かったと岬は思った。
空気はおいしく、砂利道はどこまでも続いているかのように景色が広がっていた。
「でもめずらしいな。お前がこんな時期にわざわざ日本に帰ろうって言い出すなんて・・・。」
「うん・・・。なんとなく・・・・ね。」
「ホームシックって訳じゃないだろ?」
「まさかぁ。でも、・・・なんとなく、日本の景色が眺めたくなって。ごめんね、つき合わせちゃって・・・。」
「俺はいつでも岬さんのお誘いなら喜んで受けるさ。」
岬は足元を暫く見ていたかと思うと、突然フッと空を仰いで走り出した。
「若林くんっ、先行っちゃうよ〜〜っ!」








「んっ・・・・ふっ・・。やっ・・・・。」
足先に力がはいり、シーツに皺がよる。
そのラインをなぞるように大きな手がふくらはぎから上へと移動して付け根に辿りつくと、彼の声が一段と上がった。
「あっ・・・・。はあっんっ・・・。」
額にはうっすらと汗が浮き、いやいやするように首を振る。
若林の手が岬自身を捕まえて軽く握ってやる。
すっかり雫をたらしているそれは、次の愛撫を求めるように震えていた。
「わか・・・ばやしく・・んっ。・・・・わかばやし・・・・くん・・・。」
岬の腕は若林に縋り付くようにその太い首を掻き抱き、まるでもっとと云わんばかりに力を込めてくる。
「岬・・、一体何があったんだ?言わなくちゃわからんゾ。・・・何か言いたい事があるんだろう?」
若林の手は休まることなく岬を攻め立てていたが、そんな中、ふと言葉を掛けた。
「あんっ・・・・。そんな・・・こと・・な・・いっっ。」
「うそつけ。向こうで何かあたったことなんてすぐに察しがつくさ。・・・言えよ。聞いてやるから・・・。」
ギュッと握り締めたものを下へ押し付ける。
「いやあぁんんっ。・・・・いうからっ・・・おねがいっ・・・。」
若林は手をゆっくりと離すと、岬の頬に軽くキスをした。
「何があったんだ・・?」
「きた・・・んだ。」
「・・・だれが?」
「つ・・・ばさ・・・くん・・が。来たんだ・・。チームの練習場に。」
「翼が?」
岬の耳朶を弄んでいた若林の動きが止まる。




丁度三日前。全日本のエース、大空翼。彼が来たのだった。
すでにリーグも始まっており、ヨーロッパに拠点をおいているメンバーは個々のチームで活躍の場を見つけていて。
そんな中、何故今頃になって翼がわざわざ岬のいるフランスまでやって来るのか。
これは俺の勝手な希望なんだ。と笑いながら翼は話しを始めた。
それによるとどうやら突然、翼の所属するバルセロナにMFの選手が必要になったらしい。
しかし、岬は不思議に思った。バルセロナチームには他から選手を補充するほど選手層が薄いわけではないのに・・・。なのに何故そんな話をここまで来てしだすのか?
「俺が君を欲しいんだ・・・。」
翼はまっすぐ岬を見詰めて言い出した。
「な・・・何言い出すんだ。君のチームは我侭を通せるほど選手がいないわけでもないだろう?他にいくらでもいい選手がいるだろう?なのに・・」
「うん。俺の我侭なんだ。まだ監督にも言ってないけど、でも俺は君とヨーロッパNO.1になりたい。」
あっさりと翼は言った。
「??」
「チャンピオンズリーグ・・・。ヨーロッパNO.1になる為には、その為には今すぐにでも君が必要なんだ。」
岬は自分の目を疑った。
たしかに翼と自分は全日本のワールドカップ優勝という目標の為に一緒に全日本でコンビを組もうと約束した。その為には今のチームを辞めることだって辞さない。選手生命を懸けてもいいと思っている。
しかし、ことこれに関しては話が別だ。たしかに、ヨーロッパチャンピオンズリーグだって立派な彼の目標の一つにはなるのだろうが・・・。ワールドカップとは又、意味合いが違ってくる。
それに・・・。
そもそもこんな、まだそれぞれのリーグが始まったばかりだというのに。大体そんな移籍となると、自分達だけでなく、チーム同士の話し合いだったあるし、自分だって、まだこのパリ・サンジェルマンとの契約だって残っているのに。
「翼くん。君がチームの皆と上手くいってないってこと、ないはずだよ。」
「うん。だから、これは俺の我侭なんだ。」
「・・・・・。」
「たしかに岬くんの言うとおり、他のメンバーとも上手くいってるよ。でも、それだけじゃあ、ダメなんだ。俺の一番のパートナーは君なんだ・・・。わかる?」
「翼くん・・・。」
翼の言う事もわからない訳じゃない。翼だけじゃなく、岬にとっても彼は永遠のパートナーと言える程、何も語らずともわかりあえるのだ。パスもシュートもドリブルだって上手くつながる。それは、今チームでコンビを組んで”フランス界最高のコンビ”と言われているピエールともこうはいかないほど。
でも・・・・。
翼にとっても、岬にとってもお互いがなくてはならないパートナーというのはわかるのだが、何かが違う・・・。
「君の目標の為には僕が必要というのはうれしいよ。でも、それだけ?」
「岬くん?」
「僕だって、この今のチームで、このチームの仲間と一緒にチャンピオンズリーグ目指しているんだよ。それはどうなるのさ。僕にだって僕の目標があるんだよ。」
「でも、俺と一緒なら、岬くんだって!」
「翼くんっ!」
普段の岬からは想像できないほどの大きな声で、翼を制した。

もうすぐ休憩時間が終わる。翼とは、早めに休憩時間をもらっての話し合いだったのだ。
「残念ながらこの話、聞かなかったことにするよ。どのみちお互いのチームが許してくれるとは思えないし・・。」
「大丈夫だよ。きっと俺のチームはすぐにOK取れるよ。」
開いた口が塞がらないというのはこのことだろうか。”ちょっとそこまで遊びに行ってきます”とは訳が違うのだ。サッカーは仕事なのだ。すでにプロとしてやっているのだから。
「チームから正式に話がきたら受けてくれるかい?」
「・・・・。多分、無理だと思うよ。」
岬は久しぶりの再会とは思えないほどあっけなくとその場を離れた。






「翼くんにとって・・・僕はただの都合のいい・・自分の夢を実現させる為の・・・それだけ・・・の・・・パートナー・・・なのかな・・・・って・・・。」
「岬・・・・。」
ギュッと岬は若林に抱きついた。まるで若林に答えを求めるように・・・。
それを受けて若林は岬に口付け、舌をそのピンク色の唇から中へと滑り込ませる。
「・・・んんっ。」
岬の腕はさらに若林を強く抱きしめ、若林はそれに答えて口唇内を貪る様にして舌を絡めた。
こんな事をしたからといって答えが見つかるわけではないのに、岬はただ若林を求めた。ただただ岬にはそうするしかなかった。
(若林くん・・・。君は違うよね。僕を一個人として見てくれるよね。)
激しい口付けを交わしながら若林はなお一層激しく岬を煽り立てる。
「んくっ。・・・・あふっ・・・。」
もはや岬の限界が近いのがわかったのか、顔を下げると彼そのものを口に含み解放を促す。
「ああっ・・・。わかばやしくんっ・・・。もうっ・・・・・。はあっっ・・・。」
ピクピクと痙攣したそこを軽く吸うとあっけなく己を解き放った。
「はあっ・・・はあっ・・・。」
肩で息をする岬を眺めながら、それでも若林はさらに岬の奥に手を伸ばす。
ビクッとそれに反応する岬を気にも留めずにそのまま彼の奥底を広げ。
「・・ああんっ。・・・・やっ・・。」
下に伝わった雫をまるで舐め取るようにして舌を蕾に這わす。艶のある声と共にぴちゃぴちゃと猥らな音が部屋に響いた。
それなりに格の高いホテルで、部屋は確かに隣には聞こえないだろう広さを持っているのだから何も心配はないだろうに、岬は頭の隅で大丈夫だろうかと妙な心配をしていた。
翼の話の事もあり、変なところで頭が冴えていたのだった。しかし、それを持ってしても醜態を曝け出してしまうこの体を止める事はできないのだが・・・。
「岬・・。翼はわかっているさ・・。」
それは若林も同じなのか愛撫を手に変えながら若林は岬に話しかける。彼もどこか醒めた心持ちでこの情交を行っているのだろうか。でもそれ自体がすでに神経を擦り切らした状態のような気もするが。
「本当は岬の思っているようなつもりでお前を見ていないはずだ・・・。翼は・・・・。」
「わか・・・ばやしく・・んっ。・・・はあっ・・・。」
長く節くれだった指が岬の奥に快感を呼び起こす。敏感な体質なのか、それだけで岬は先ほど放ったばかりで垂れていたそれがまた顔を擡げるのがわかった。
「わかってるんだろう?ほんとは岬も・・・・。」
若林のもたらす快感に打ち震え、答えることができないのにもかかわらず若林は言葉を続ける。
「お前は頭でわかっててもそれを自分でどう納得していいのか・・・わからなくて。それで俺の所に来たんだ。・・・違うか?岬・・・。」
「ああぁんっ。・・・はあんっ・・・・。」
「俺に言って欲しかっただろう?昔のようなただの通りすがりの転校生じゃなく、都合のいいパートナーじゃなく、岬 太郎を翼も皆も見ているって・・・。ちゃんと岬を一個人として認めているって・・・。」
すでに若林も我慢ができないのか、岬のそこに身体を入れ込むと一気に突き上げた。
「あああぁぁぁぁっっ。はああぁぁんんっっっ。」
「み・・・さきっ・・」






「ありがとう。若林くん・・・・。」
「ん?」
暗闇の中、静かに声が交わされる。
岬はうつ伏せになりながら穏やかな表情で若林を見つめていた。
「若林くんは僕の欲しい言葉をくれたんだ・・。だから、ありがとう。」
自分の頭の下で組んでいた手をはずし、ぽんぽんと岬の頭を撫でる。
「岬の為ならなんだってするし、どんな言葉だって言ってやるさ。愛してるって言葉でも・・・。」
「ふふっ、キザだね。」
「岬に対してならいくらでもキザに決めてやるよ。うれしいだろう?」
「もうっ!・・・明日ね、朝になったら・・・。」
岬は若林の胸に頭を預けながら呟く。
「何だ?」
「電話するよ・・・。翼くんに・・・。」
「そうだな。きっと待ってるな、翼・・。」
「それから、もうちょっと甘えてもいい?」
「いいぞ。どうしたいんだ?」
ニッコリと微笑みながらお願いする。
「もう一日、ゆっくりしていこう。折角日本に来たんだから。」
まるで天使のような微笑だと思いながら若林は返事をした。
「はいはい。わがままなお姫様。」





END






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コメント:すみませ〜〜〜ん。すっかり季節はずれになってしまいました。これ、ほんとは秋にUPしようと考えたものだったんですが、ついつい〜。
ついに裏デビュー〜vvって、すでによそ様で書いてはいるのだが・・。
それにしても、裏最初の話がこんなんで・・・って、まぁ、もともと文才ないし〜。
そ・し・て、岬くんがパリ・サンジェルマンというのは以前、おまけ本になった「オリンピック編」(そんなタイトルじゃないって!)から持ってきちゃいました〜。ピエールとコンビは私の趣味です。(だって、絵になるよねぇvv)
タイトルと中味が全然合わないのは・・・・許してください。センスないので〜。
次回はもうちょっと、マシにな・・・・るかなぁ。