仲良しこよし
湯気の立ち上るシャワールームの一角で二つの影が絡み合う。 「うふふ。岬君の肌って真っ白できれいv」 「うふふ。翼君の肌だってしっとりして吸い付いてくるみたいv」 二人向き合って肩から下へ手を滑らせ、腰の辺りから背中をまた上へとなぞる。 お互いの頬を両手で包み込み、見詰め合う。 「岬君・・・」 「翼君・・・」 ゆっくりと瞼が下りてゆき、唇と唇が近づいて・・・ 「やめろっ!やめてくれっっ!」 顔から体から真っ赤に染まった松山の怒声が響き渡った。 「な〜に?松山?」 「どうしたの?松山?」 二つの可愛らしい顔がさも不思議そうにそちらへ向く。もちろん抱き合ったまま。 「・・・///・・だから!そ〜ゆ〜のをやめいっ!」 「そ〜ゆ〜のって何?」 「そ〜だよ。何なの?」 「俺たちなんにも悪いことしてないもん。ね〜?岬君?」 「僕たちなんにも変なことしてないもん。ね〜?翼君?」 その言葉にはシャワールームにいた一同唖然。 「それって悪いことでも変なことでもないのか!?」 口が開いたままふさがらない松山のかわりに若島津が言葉をつなぐ。 「え〜?悪いことなの〜?だって〜ロベルトも、みんなも、体の調子を見るぞ〜って、すぐ触ってくるし〜?」 「え〜?変なことなの〜?だって〜ピエールも、みんなも、挨拶だ〜って、どこででもキスしてくるし〜?」 『こいら・・いいように洗脳されてないか?』 「そ、それはだな。特殊なというかなんというか・・そう!外国だからだ!」 なんとか平静を保って若島津が理由を見つける。だいぶ無理やりでよくある言い訳な気はするが。 「ん〜。でも一番最初はね。みす・・・」 「ん〜。でも一番最初はね。わかば・・」 何故か二人が同じような言葉をいいかけると 「さ〜て。そろそろ上がらないと・・・!」 「そうそう。風邪ひいちゃうぞ〜・・・!」 とうにシャワーを浴び終えて出て行ったはずの二人が翼と岬を抱えて連れ去るようにシャワー室を飛び出していった。 『やっぱり原因はあいつらかッッ!!』 シャワールームには今日もモンモンとした気分だけを残された青少年たちが涙に暮れていた。 |