初めましてのご挨拶




「いい月夜だ・・・」

夜空を見上げて小さく呟く。

枕が変わると眠れなくなるとは聞くがましてや乗っている船ごと変わったのだ、それも仕方の無い事か。と自分に言い聞かせるようにして甲板に出た。
何を考えるでもなく、ぼんやりと夜空を眺めながら一服を楽しんでいるとコツコツとこちらに近寄ってくる足音に気がついた。

「・・・誰だ?」

知らず声が尖る。敵ではないと分かってはいてもここゴーイングメリー号の乗組員とはまだまだ顔見知り程度の仲だ。
それに、この首筋が粟立つような気配は・・・

「俺だ・・・驚かせたか?・・・」

暗がりから月明かりの中へ出てきたのは・・・三刀流の剣士、海賊狩りのロロノア・ゾロ。さすがに隙がない。ただそこにいるだけで殺気のようなものを感じる。

「いやぁ、別に・・・ただこんな時間だからよ・・・どした?腹でも減ったか?」
「ルフィじゃあるまいし、そんなにしょっちゅう腹が減るかよ。お前が部屋を出て行く気配がしたんでこっちこそどうかしたのかと思ったんだ。・・・眠れないのか?」

ほぉ・・さすが気配に敏いな。ま、獣は眠りが浅いらしいしな。

「ん〜・・まぁ、な。枕が変わると、ってやつかと思ってたとこだ。」
「そうか。・・なら、ちょうどいい。少し話がしたいんだが・・いいか?」

おぉ?なんだ見かけの割りに礼儀正しいやつだな。

「いいぜ。なんだ?これからのことか?」

やはり新入りには何か一言言っておきたいことでもあるのだろうと見当する。船の社会は縦社会。どこにでも先輩後輩、あるいは実力順序はあるものだ。
ま、実力じゃあ俺も負ける気はねぇがな。ここで勝負だと言われれば喜んで受けてたつぜ。

「///・・・ああ、そうだ。それでだな、まだ皆にキチンと挨拶もしてないのはまずいと思ってな。俺のところに来たんだから様式が俺の故郷式でよければ明日にでも出来るように準備をしようと思ってだな・・・」

へぇ、案外畏まったことをする船なんだなぁ・・・そういや、イーストブルーの極東の島国では伝統と風習を重んじるとか?こいつそこの出身か?船長のルフィも長鼻のウソップとかいう奴もイースト出身だって話だし・・・

「郷に入っては郷に従えって言うしな。いいぜ。お前にまかせるよ。」
「そうか!じゃあ、少し買い物もあるし・・・昼過ぎには出来るように準備しておくぜ!」

ニカリと歯を見せて笑う奴の顔からは俺を快く迎えてくれるのだという気持ちが現れていて、俺も気分よく笑顔を返せた。

「ああ、これからよろしく頼むな!」
「こちらこそ、幾久しく頼むな!」

随分と古風な表現をする奴だ。握手をするべく差し伸べられた手を握り返し、俺はそう思った。












次の日、朝飯を喰い終わるやいなや奴は「じゃ、ちょっと行って来る。」と船を降りた。



・・・・が、奴が戻ってきたのは日も暮れようとする時刻になってからだった。

「遅ぇッ!!」
「あ〜・・・すまん。まっすぐ帰ってきたつもりなんだが・・・途中で山登ったり、崖降りたりがあってよ。荷物を汚す訳にはいかねぇし、ちょっと梃子摺ってだな。・・・」

ハァ?街へ買い物に行く道には山道なんぞこれっぽっちもなかった筈だが?

「まぁ、いい。俺は夕飯の仕度で忙しいんだ。準備はまかせていいんだろ?それ喰ったらやっといてくれ。」

昼を喰いっぱぐれたらしい奴に残しておいたランチを出しながら今日のディナーの仕度にとりかかる。折角の儀式なんだからと、少し豪華にメニューを考えたのだ。手間もかかる。

「おぅ。汗かいちまったから少し流してくる。お前もそれ終わったらこっちに着替えておいてくれ。・・っていっても省略して羽織るだけのにしておいたから、簡単だ。あれは着慣れねぇと気持ち悪くなっからな。」
「あ〜?よく分からないが、着替えればいいんだな?」

まだ慣れていない台所で手間の掛かる料理と格闘していてちょっとパニック気味になっていた俺は適当に返事をした。





なんとか無事・・・いや、俺様に限って料理に失敗するなんてこたぁ有り得ねぇが、ディナーの仕度を終えた俺は渡された荷物の中の物を羽織り、なんかわかんねぇモンを手に皆の集まる甲板へと飛び出した。

「すまん!待たせたか?」
「いや、主役が来なくちゃは始まんねぇからよ!サンジはこっち座ってくれ。」

長鼻に促されて席につく。手に持っていたわかんねぇモンは被るんだと言われて頭にのせられた。白い布に視界を遮られ前がよく見えない。深く被せ過ぎなんじゃねぇのか?それとも儀式が終わるまでは顔を隠しておくもんなのか?


そろりと周りを伺うと船首を背に座っている俺の右側にはゾロが、二人の向かいにはルフィが、ゾロ側に横向きに長鼻が座り、俺の側には愛しのナミすゎんvが美しい横顔を見せて座っていらっしゃるvv
野郎共3人はそろって黒い上着と縦じまの下。お美しいナミさんは目にも鮮やかな花柄の身体にフィットしたドレス。ウエストのリボンが幅広で背中で大きく蝶々になっているのが可愛らしくとてもよく似合ってるvv
みんなそでが長く作ってあるのが特徴か?儀式用の衣装ってのは変わったものが多いよな。

長鼻が低い声で唸り始めたのをきっかけに儀式は始まったようでルフィが緊張した面持ちでゾロに薄い小さな皿を手渡した。
俺たちの前に用意してあった小さな机のようなものの上に積み上げられていたものだ。
そしてそれになにやらを注ぎいれる。思わずクンと鼻を動かして匂いを確かめるとどうやら酒のようだ。
ゾロはそれをちびちびと口につける。なんだぁ?これっくらいの量一息で飲めっつの!それとも下戸か?いや、確かこいつ酒はガバガバ飲めたはずだ。
・・・と、するとアレか?これも儀式の形式のうちか?ちょっとくらい先に説明しとけっつ〜の・・・
ゾロから手渡されたそれにルフィからの酌を受け、間接キスかよ、勘弁してくれよ〜・・・と若干凹みつつ、儀式じゃしかたねぇよな。と自分を励ましてなんとか飲み干した。
ソレを三回も繰り返されたのには参ったが・・・。
参ったと言えば長鼻の唸りもそうだ。なんだこりゃ?呪文か?歌か?タカサゴ屋ってなんの店だよ?CMソングにしても陰気すぎるだろ?っつか儀式中だっての!!そんなん歌うな!
そんな事をつらつら考えていると手を引かれて立つように促される。今度は何をするのか?と顔を隠す布の下からチラリとゾロを伺うと昨夜の笑顔でニカリと笑われた。
なんだかホッと安心する。

「最後に名前だけ言えばいいから・・・」

そう小声で囁かれ、コクリと小さく頷いて返した。
ゾロは懐から紙を取り出した。表に『誓約文』と書かれている。それをパラリと開いて読み上げる。

「私達はこれからの人生の喜びも悲しみも分かち合い、苦しみを助け合って幾久しく共に歩んでいく事を今日ここに皆様の前で誓います。夫、ロロノア・ゾロ。」

そ〜だよな〜、これから仲間として楽しいことも悲しい事も一緒に、辛い時は助け合って行かなきゃダメだよな〜・・・なんて考えてた俺は「ん、」と指し示された場所を深く考えもせずに読み上げた。

「妻、サンジ。」









アレ?









わ〜〜〜〜〜っと歓声が上がる。三人しか声を上げてないのに騒々しいのはルフィの大声とはしゃぎ過ぎの長鼻のせいだ。ナミさんはステキな笑顔で拍手をしてくれてるv
嬉しいよ!ナミさん!!・・・・って・・・







アレ?








な〜んかちょっと引っ掛かる所があるんだけどな?なんだっけかな?と首を捻っていると隣のゾロがまたもや懐から何かを取り出した。
なんだ?
取り出したのは小箱でそのなかから何かを取り出したゾロは俺の左手をそっと持ち上げ、指に何かをはめた。

「俺の故郷では本当はこういう儀式はないものなんだが・・・最近はみんなするもんだって言うしな。」

らしくもなく頬を染める緑頭の男の顔が自分の左手越しにある。俺の左手薬指にはシンプルな銀色のリングに薄水色の石がついた指輪がはまっている。

「・・・ゾロ・・・」

目の前の映像がぼんやりにじむ。俺、泣いているのかな・・・?

「!うあ!泣いて嬉しがるほどのもんじゃねぇよ!俺ぁ給料なんて貰ってねぇからよ、三ヶ月分なんて額じゃねぇし!安モンで悪りぃんだけどよ、お前の瞳の色に似てたもんだから・・つい・・な・・・」

真っ赤になってわたわたと焦るゾロの顔が見られなくて下を向く。俯いた俺の目からとうとう一粒ポトリと涙が零れ落ちた・・・



「・・・・・・・って、なぁ〜に照れてやがんだ!気持ち悪りぃっ!!ぬわんで俺様がてめぇなんぞと結婚式あげなきゃナンネェンダヨッッ!!!」

きれ〜〜〜いに蹴りが決まってお星様になりそうだったそれをルフィが空中でつかまえたせいでゴムの反動を利用して帰ってきやがった。・・・チッ!・・・

「なんだよ?昨夜も今日も『幾久しく』って誓い合っただろ?嬉し泣きの涙を見られたからって照れ隠しに蹴り技出さなくていいんだぞ?余興は友人がやってくれるもんだしな。」
「嬉し泣きじゃねぇ!!悔し涙だッ!!」

怒り心頭の俺など構いもせず、緑の筋肉バカ頭は俺を肩に担ぎ上げた。だって俺は白い長い羽織物に邪魔されて上手く身体が動かせずに逃げ切れなかったんだ。

「うぎゃ?!何しやがる!離しやがれっ!!」
「おう。じゃ、後は皆で適当にやっといてくれ。俺達ぁこれから更なる儀式があっからよv」
「ふぉう!ふはひほほほひははへひは!」

さっそく俺様の作った豪華ディナーを口いっぱいにほお張ったルフィが何やらモゴモゴ言っている。馬鹿野郎!ディナーにはちゃんと食べる順番ってもんがあんだ!それからじゃねぇ!って、ああ!そんな心配してる場合じゃねぇよ、俺っ!!

「はは!ルフィ、それじゃ何言ってっかわかんねぇって!『おう!二人共お幸せにな!』だってよ!お二人さん!俺からもな!」

何故あれで分かる?実はテレパシーが使えるのか?長っ鼻!俺からもじゃねぇだろ!人の心の内が読めるってんなら俺の心の叫びも読みやがれぇぇ!!

「ごゆっくり〜v」

ナミさん!?ガビン!ゆっくりなんて場合じゃないんですよ!めちゃくちゃ焦ってんです!俺はっ!!


暴れれれば暴れるほど体の自由を奪うように纏わりつく白くて長くて重たい羽織物や、視界を奪う邪魔な白い被り物・・・後に打掛けと綿帽子と判明。に邪魔されて、俺は逃げ出すこと叶わず、緑頭に連行された。











「ぎぃやぁあぁぁあぁあぁぁぁああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!!!!」




薄暗い倉庫の中、打掛けを布団がわりに俺は・・・・俺はぁぁああぁぁ・・・・
















そんなこんなで結婚生活早やン年、あれから俺の座右の銘は「挨拶はキチンとしよう!」だ。

「おう、酒。」

今日も今日とて宿六は夜中に酒をたかりにやって来る。

「んだと!コラァ!?誰に向ってンな口訊いてやがる?!フザケタ事ぬかしやがるんなら離婚だ!リコンッ!!」
「申し訳ありませんでした。お酒を少々いただけませんでしょうか?奥様。」

即、土下座。わかってんならハナからそうしろってんだ。フン!

「余分な酒はねぇ!」
「んな!?なんだと!?それじゃ誤り損じゃねぇか!」
「ウルセェ!俺がないったらないんだ!糞して早く寝ちまえ!筋肉マリモマン!!」

とぼとぼと肩を落として部屋へ戻る背中を見て、ちょっとだけ気分が晴れる。今日はイライラしてんだ。八つ当たりしてやった。
先輩後輩で言えばあいつの方が上だが、実力順なら確実に俺が上だ。


誰が何と言おうと、な!俺が上なんだよ!文句あっか?!あぁん!?



END

06.10.25




HOME   BACK




千ちゃんからの初めましてのご挨拶
どうも、初めまして〜。ご挨拶が遅くなりました。このサイトの居候、千でございますぅ。m(__)m
落書きやら、ふざけた人形やらでちょろりとご存知の方も、本館?でご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、ワンピ文体での初めましてということで、ご挨拶させていただきました。
やはり世界がちがうのでご挨拶してないってのちょっと気になってはいたんですよね、あはは。
そんな気持ちが元になった小話、いかがでしたでしょうか?最後の一文に「お前は下だ!」と突っ込んでいただければワタクシ、ニヤリと喜びます。
次回があるとは思えませんが、千ちゃん的本編のおまけをさんたに渡して置きますのでそちらもどうぞ。って、アップあるかな?問題ありだよね?(笑)
感想等一切合財はさんたまで。できれば苦情はナシの方向で・・・。これからもこのサイトを幾久しくよろしくお願いいたします。m(__)m失礼致しました〜。


さんたより
ありがとう、せんちゃん\(◎o◎)/!本当に書いてくれるとは〜〜vvしあわせ〜〜〜〜〜vv
そして、相変わらずのとばしっぷりに、PCにミルクティーを噴出して汚すところだったよ。あぶねぇあぶねぇ・・・。
資料も何も持っていない貴女に、出会いの頃の質問をされて、「妄想してOK!」を出したらこんな素敵(?)な話に・・・。がははは。
次回はあると思ってください!






で、おまけも書いてくれました〜vvしかも、二つも!!(狂喜乱舞)
ただし千ちゃん、本来はゾロル派なので・・・。多少ゾロル要素ありです。(でも、ギャグなので読めるかな。)
読める人のみ下へプリーズ















































千ちゃん的本編のおまけ(だって千ちゃんゾロルだもん!)
 愛しきヒトよ 




ゾロキラーは恋をしていた。だがそれは、所詮届かぬ恋だった。

酒を呑んで気がゆるんでいた拍子にポロリとそんなゾロキラーの気持ちが飛び出した。それを聞き逃してくれるサンジロプスではなかった。

「なぁ、なぁ。誰だよそれ?可愛い子ちゃんか?まさかロビンフラワンちゃんじゃねぇだろうな?だったら止めとけ。あの人はお前なんかにゃ高嶺の花だ!」
「ちがう・・・」
「なんだよ届かぬ恋なんだろ?あ、じゃあ、敵方のナミフィアちゃんか?あの子も可愛いもんな〜〜v」
「ちがう!アイツは敵なんかじゃねぇだろ?そうじゃねぇ・・・だが届かないんだ・・・俺に出来る事といやぁせいぜい身体を綺麗に洗ってやることぐらいしか・・・」

そうだ。俺に出来る事と言ったらそんな事ぐらいしかねぇ。
沈むゾロキラーの気持ちも分からずサンジロプスは大声で喚き出した。

「な!なにぃ!想いも伝え合ってねぇってのに、一緒に風呂に入る仲だってのか!?羨ましいぜ!あ、いや!俺だってな!・・・」
「はぁ?何言ってんだ、手前ぇ・・・?あんなに大きいのに一緒に風呂に入れる訳ないだろうが?」
「は?大きい?」
「そうだな、一緒に入れるとすりゃプール・・・でも少し小さいか?海なら!・・・錆びが出ちまうな・・・」
「・・・あの〜・・・もう一度お伺いいたしますが、それは一体誰の事なんですかねぇ?」

なんだ?ここまで言ってまだわかんねぇのか?チッ!鈍い奴だと眉間に皺をよせゾロキラーは渋々その名を口にした。

「ジャイアントルフィボンバーに決まってんだろが。」
「・・・・・・・はぁぁ???・・・・」

おう、すげえな。こいつの顎、どこまで下がるんだ?生命の不思議についてゾロキラーが考えているとやっと顎の位置を戻したサンジロプスが尋ねてきた。

「・・・あの・・ルフィボンバーのどこに惚れたんだ?・・・」
「可愛いトコ。」
「はぁ?」
「あの可愛い笑顔を見てるとこう・・・俺が守ってやらなくっちゃなぁv・・・って思うんだ。」
「はぁ・・・」
「だけどキスしようにも押し倒そうにも、どうにも届かなくてだな・・・」
「キ・・!押しっ・・・!?・・・」
「届かぬ恋ってのは辛ぇよな・・・」
「いや、それ、意味が違うから・・・あ〜・・・だが、まぁ届かねぇってんなら届くように変えちまえばいいんじゃねぇの?」
「へ?」

間抜けた声を出すゾロキラーに心底アホだ!と思っているのが丸分かりの顔でサンジプロスが言った。

「ルフィボンバーはロボットだろ?だったら好みのボディーに作り直せばいいじゃねぇか?」
「・・・!そうか!その手がっ!・・・」

感動に打ち震えるゾロキラーとアホな話に呆れるサンジロプス。そしてこっそり話を盗み聞きしていたロビンフラワンが話の的のルフィボンバーによる爆風によってお空の彼方へと飛ばされたのはその瞬間だった。






全財産を注ぎ込みナミフィアからルフィボンバーを譲り受けたゾロキラーが新しく用意したボディは麦わら帽子をかぶった赤いベストに半ズボン、サンダルをつっかけた夏休み真っ最中のような男の子のものだった。

「ショタコンめ!・・・」

サンジロプスの憎憎しげな呟きも、ようやく届いた恋をその腕に閉じ込める事に夢中なゾロキラーにはまったく届かなかった。



END


















おまけのおまけ
 木曜日の妻たち 




木曜日の夕方4時。後小一時間ほどもすれば夕食の用意に取り掛からなければならない。でもも〜ちょっとゆっくりしてようかしら?なそんな時間。

サンジ田さんの家にはルフィ崎さんがいて、二人はおせんべ片手にお茶を啜りながらまるで再放送か?と見間違えるような内容の人気アニメわんひ〜すを見てくつろいでいた。

「あらやだ!サンジ田さん、もうおせんべないわよ?お尻触らせてあげるからもっといいもんなんか出しなさいよ!」
「あらやだ!触っていいの?ってなんか微妙な提案だわね!でもまぁいいってんなら、触っちゃうわよ〜!げへへv」
「あらやだ!お茶もおかわりちょうだいよ!で?何出してくれんの!もったいぶってないで早くだしなさいよ!お肉!お肉がいいわ!甘いジャムつけて美味しくしたお肉ね!」
「あらやだ!鶏肉の杏ジャム煮ね!本当においしんだからルフィ崎さんもちゃんと自分でつくりなさいよ!」
「わかってるわよ〜!でも、煮る前に焼いた段階でなぜかお肉なくなっちゃうのよ!どうにかしなさいよ!」
「それはルフィ崎さんが焼いてる段階で食べちゃってるからじゃないの!?自分でどうにかしなさいよ!」
「あらやだ!!」

台所の後姿のサンジ田に向ってルフィ崎は叫んだ。

「あらやだ!サンジ田さん首筋にキスマ〜クvついてるわよ〜んvあらやだ!お盛んねぇ!」
「あらやだ!もう!見えるとこにはつけるなっていつも言ってんのに!いや〜ねぇ!もう!でも、久しぶりに家の宿六帰ってきたもんだから〜つい〜v」
「あらやだ!ノロケ?おノロケかしら?あらやだ!家の旦那は昨日から出張でいないってのに〜!ちょっと、早くお肉持ってきなさいよ!」

慌てて山盛りのお肉を持ってリビングに戻ったサンジ田も目敏くその印に突っ込んだ。

「あらやだ!ルフィ崎さんだって!何?その鎖骨の噛み傷は!あらやだ!激しいのね〜?」
「あらやだ!見えちゃった?家の旦那、出張前にはこうやって噛み付いて、痕残して置かないと心配だって言うのよね〜v」
「あらやだ!」
「あらやだ!」

そんな恥らう乙女の羞恥心などとうに捨て去ったオバハン達のあからさまな会話の最中、サンジ田さんの家に帰宅した人物が・・・

ガラガラ〜〜

「うぉ〜い、今帰ったぞ〜?」
「あらやだ!家の宿六よ!何よ!予定より早いじゃない!?はぁ〜いvお帰りなさ〜いv」
「あらやだ!じゃ、もう帰んなきゃ!ちょっと、タッパー借りるわよ!今日の晩御飯のおかずにお肉もらってくから!!」

タッパーどころかそれを入れる買い物袋一杯に肉を詰め込んだルフィ崎が向った玄関にはサンジ田の宿六が。

「あらやだ!あんた!ルフィ崎さんよ!アタシのお友達の!」
「あらやだ!初めまして〜、ルフィ崎ですぅv」
「どうも・・・」

靴を脱ぐため玄関先に腰掛け、背を向けたサンジ田の宿六が振り返ると・・

「あ・・・」
「あらやだ・・・」
「?どうしたの?ルフィ崎さん?」
「この人、家の旦那。・・・」
「え?」


「・・・・」



ゾロ、二重婚生活がバレた瞬間・・・

「「あらやだ!」」

少しも狂わずハモるオバハン言葉に地獄の予感がしたそうな・・・







END






ありがとうございました〜〜vv