自慢は仲の行き止まり
夜、サンジが明日の仕込みを終えて汗を流そうと着替えを取りに男部屋へと降りると、食事も終わってかなり経つのにまだ寝付けないのか、それとも何かしら楽しいことでもあるのか、男連中はまだみんな起きていた。 もっとも、就寝時間があってないようなものだから、明日の朝きちんと朝食に間に合うように起床してくれれば何をしてもいいだろう。 それよりも、例え遅くともいつもならラウンジで談笑するはずなのに、男部屋という場所で話をしていることに多少の疑問を持つ。 ルフィを筆頭にウソップ、チョッパーがテーブルを囲んでいつになくにやけた顔をしている。しかも、普段ならあまり会話に加わらないゾロも珍しく、鉄アレイを振りながらもその輪の中にいた。 大概は、ウソップとチョッパーが組になっているか、それともウソップとルフィが組んでいることが多い。3人で組むことももちろんあるが、ただ、それにゾロが入っているのが意外だった。 全員で話をしているなんて珍しいな、と部屋へ降りながら耳をそっと傾けると、なるほど、女性連中にはちょっと聞かせたくない話題だった。 「で、どうなったんだ、ルフィ。その彼女とは?」 ウソップがいつになくニヤケた表情でルフィの前へと膝を擦寄せた。 ルフィも満更ではないようで、一歩前に顔を出す。 「俺だって男だからな!据え膳喰わぬは男の恥ってな!そのまま彼女の行き着けのホテルへゴーだ!」 「うおおおぉぉ!!女に行き着けのホテルがあるのか、すげぇ!」 自慢げに胸を張っている船長にウソップが拍手を送っている。 見た目にも行動にもどう見ても子どもだとばかり思っていた船長が、そういった経験がある。ということは、きっとナミには内緒だろう。ナミが聞いたら仄かに船長に心を寄せている彼女が憤怒する事間違いなしだ! そこは知らぬ振りをすることに決めた。 サンジは煙草を胸ポケットから取り出して火を点けた。 ちょっと意外だったが、まぁ、男なのだし、自分達は海賊だ。旅を続けている時にはそう言う事もあるのだろう。 そう納得して、手にした着替えをそのままに風呂へ行くのを踏み留まる。煙を吐き出しながら、さり気なく後ろから耳を傍立てた。やはり、予想外の人間の裏話なので興味があるのは当然だ。 「旨かったか?」 「まぁな〜。そういう仕事をしているわけじゃないらしいけど、結構遊んでいるらしくて、テクニックはあったぞ!しかも、そいつ、アンアン感じまくりで良かった!俺もアンアン感じまくりだ!!」 「うおぉぉ〜〜〜〜。いいなぁ〜。」 「いいだろう!島にいる間だけの一晩限りの関係だったがあれは思い出深かった・・・。」 ルフィはしみじみと腕を組んで目を閉じる。以前島で体験したことを思い出しているんだろう。それだけ良かったんだな、となんだか笑ってしまった。 同時に。 ウソップ、涎出てるぞ。 思わずそう注意したくなる。 ルフィは、目を開けると戦闘時とは違う顔でニヤリとした。 サンジに顔を向ける。 「ってなことで、もっと詳しく話をしようか?サンジ!」 「お前ら、今日は早く部屋へ降りたと思ったら寝ないで、んな話をしていたのか・・・。」 急に振られて煙草を落としそうになる。 が、なんとか冷静を装い、一旦は止めた足をさりげなく進めたが、それはどうやら無理のようだ。 改めて部屋を見直すと、やはり全員輪になってルフィの話に耳を傾けていた。 「俺、人間の女には今一興味なかったが、でもちょっと興味が出てきたぞ。」 チョッパーがいつものように眼をキラキラさせている。 基本がトナカイの彼の場合は内容的にエロ話に興奮するというより、見知らぬ体験話に興奮しているという感じだ。と、同様に、医者として人間の女性の身体に興味があるのかもしれない。 そして、いつもウソップの法螺話にも眼を輝かせて何でも信じてしまうほど純粋な彼は、何にでも興味を持つのだろう。必死になって聞いているようにも思えた。 それ以外の、人間の男供はやはりごくごく普通に男として興味、そして性欲が強くなる時期ということなのだろう。 そっと伺い見ると、それぞれの股間がルフィの話の先を想像しているのだろう、膨らんでいる。 斯く言うサンジも実はルフィの言葉にちょっと反応し始めている。 ルフィの言葉に仕方がないという仕草で輪の中に加わった。やはり19歳は多感(?)な年頃だ。 「で、どう詳しい話が出てくるんだよ。」 座った傍から普段からテーブルに置きっぱなしになっている灰皿を引き寄せ、長くなりつつある灰を落とした。 気が付けば、その仕草を見ていたゾロと思わず目が合う。 何が言いたいんだ?と視線で問うと、すっと視線を外した。 思わず目を細めるが、ルフィが話を続けるので、サンジはそちらに顔を向けた。 「詳しい話ってのはな・・・。そうだ、今度はゾロの女の話をしてくれよ!いろんな体位ができるほどに身体柔らかいんだろう?」 「は?」 「おう!俺もゾロの彼女の話が聞きてぇ!」 ちょっと待て!とサンジは思った。 いつの彼女の話だ、それは? 「あ"・・・・?別にいいだろうが、俺の話は。」 ゾロの視線がキョロキョロと泳ぐ。 何だか怪しい。 サンジがじっとゾロを見つめると泳いでいた視線とぶつかった。 先ほどの挙動不審な様子はそのことだったのか。と納得してしまった。 ルフィ達に攻められて、うっと詰まっているゾロに眉が寄せられるが、サンジと目が合った途端、赤くなっていくゾロに暫くして彼女の意味がわかった。 もしかして・・・・・・。 魔獣が頬を染めるってどうよ!と思うが、それ以上に彼女の存在がわかってしまったサンジの顔が青くなる。 ルフィ達に詰め寄られ顔を赤らめながらも引き攣らせているゾロの様子に、彼女の意味をサンジが理解したとわかって、ゾロはさらに顔を赤くした。 「それより、ルフィ。さっきの話の続きはどうした?お前の話じゃなかったのか?コックはまだ全然話を聞いていないぞ、もう一度話してやれよ!」 何とかして話をルフィの体験談に戻そうとするが、ルフィはいや、と首を振る。 「どうせなら、サンジも俺の話よりゾロの話の方が聞きてぇんじゃねぇか?なんてったってライバルだからな、お前ら。」 体験談の時とは違ったニカリと屈託のない笑顔を向けられた。 チラリとサンジの方に視線を向ける。 当の彼女が睨みつける目でゾロを見ている。しかも、指に挟んだ煙草ごと手を震わせて。 そう、ゾロの彼女とは実は、言わずと知れたサンジのことだった。 実際、ゾロとサンジは彼女彼氏と言う言葉では一括りにできない程の仲になっている。 二人が恋仲になってまだ月日は浅いが、そんなものは日数では測れないほどに、深く濃い仲になっている。 ゾロがサンジのことを生涯の伴侶と決めていると同時に、サンジもまた、レディとは別格と結論づけているほどにゾロに心を持っていかれていた。 お互いになくてはならない存在になっていたのだ。 もちろん、それは心の関係だけでなく、身体の関係においても同様で。 今まで、島に着けば所謂娼館という場所へ迷うことなく通っていたゾロも。ナンパ命とまで謳っていたサンジも。 今はお互いだけを求めるようになっている。 最初、どちらが女役をやるかで揉めはしたが、力技で押しきったゾロを罵倒しながらも結局気持ち良さに流されたサンジは、今は進んでその役を買って出ているほどだ。 それでか? ゾロの彼女は身体が柔らかくどんな体位でもこなす、という話になっている。 一体どういう風にルフィ達に吹き込んでんだよ!!!(怒) 「戦闘に関してならいざ知らず、こんな色恋沙汰じゃライバルじゃねぇ。」 サンジが頭の中でグルグルと思考を巡らせ、今までの話を推測している横で、ゾロがルフィに反論している。 が、やはり何もわかっていないというか、純粋(?)なルフィは「何で?」という顔をする。 「なんでだ?いつも、戦闘になるとどっちが敵を多く倒したか数競ってんじゃねぇか?それに、サンジが島に着いてナンパに行くと、ゾロも後を追ってくみたいに慌てて船降りるだろう?だから彼女の数も競ってたんじゃなかったのか?」 そんなこと知ってんのか?!と驚愕する。 見ていないようで見ている。 確かに今は二人の関係は秘密だから、適当にカモフラージュして時間差で船から降りてはいるが、そんなところを見ていたのかとルフィの意外な観察眼に驚かされた。 が、知っているようで、何も知らない。 肝心のことは知らない船長だった。 「彼女の数を競った覚えはねぇ。」 ボソリとゾロは言う。 そりゃあ当然だ。競う必要はまったくない。どころか、競ったら、二人の関係は終わりになってしまうだろう。 「そうなのか?」 ルフィはキョトンとした顔で首を傾げた。 「でも、ゾロの彼女の話、俺も聞きたいな。人間の身体って結構固いと思うけど、女の人ってすごく柔らかい人いるし・・・。俺、前、お尻の上に顔を乗せたまま自転車に乗っている女の人のショーを見たぞ。」 「それって昔寄った島で見た曲芸団のショーだろう?あれは別格だ。あの人達は常に人並み外れた訓練してるんだ。ま、俺様ほど厳しい訓練じゃねぇがな。」 不思議な顔で以前見たショーのことを思い出したチョッパーにウソップが説明をする。ウソップ自身の訓練は何だか分からないが。 「じゃあ、ゾロの彼女も訓練しているのか?」 チョッパーが真面目に聞いているところを、ウソップがそのまま横槍を入れる。 「つねにアクロバティックな体位をするための訓練か?そりゃあ、大変だろう!毎日8時間の体位の練習、かなりきつそうだぜ〜〜。」 どっ、とチョッパーもルフィも釣られて爆笑する。 「ウソップ・・・。てめぇ・・・・・。」 あまりの突っ込みにゾロがピクピクと眉間の皺を振るわせる。 と、同時にそろりとサンジの方を見やると、サンジも口をヒクヒクさせていた。笑うに笑えないのだろう。 「そういうことじゃねぇ!!」 「だったら何だよ?さっき言ってたじゃねぇか、ゾロ。付き合ってるヤツは身体が柔らかいから、どんな体位も好みのままだぜ。って自慢してたじゃねぇか。」 サンジがウソップ達の後からジトッとした目でゾロを睨みつける。それに誰も気が付かないのが幸いか。 「うっ。」 「ゾロ言ってたじゃないか。俺の話の前に。セックスがすげえんだぜ!!って。そりゃあ、嘘なのか?」 そんなことを言ってたのか!!!(怒怒)一体何てことをほざきやがるのか。 「いや、そりゃあ嘘じゃねぇ!」 おいおい、それ以上、話を伸ばすな!!(怒怒怒) 「じゃあ、どんな体位が得意なんだ?その彼女は?」 「あ"・・・・。う・・・・、その・・・。」 二人の関係は今のところ、クルーには内緒なのだが。 それでも、しどろもどろになるゾロに助け舟を出してやるつもりは、サンジには起きなかった。 「どんな体位もできるとは言ったが、単なる特技っていうか・・・。その・・・・・・・好みじゃねぇんだ。変わった体位は・・・。」 大量の汗を流しながら口をモソモソ動かして、なんとか返事をする。 特技ってなんだ!!(怒怒怒怒) 「じゃあ、どんな体位が好みなんだ?その彼女は?」 ルフィがチョッパー以上にキラキラした瞳で近寄ってくる。 そんな話題に目を輝かせないで欲しい。 「いや、普通の体位が好みで・・・・。ごくごく普通の恋仲だったらそれでいいんじゃねぇか?・・・・・・・・なぁ、コック?」 突然話題を振られてサンジは「いっ!」と声を詰まらせる。 一旦は無視をしようとしたが、ゾロのヒクヒクした頬といつも以上に寄った眉間の皺を見るとそ知らぬ顔ができない。ここでそ知らぬ顔をしたら後が怖いだろう。 「あ・・・・・あぁ。そうだな・・・。ごくごく普通のカップルなら、・・・・・・ごくごく普通の体位が・・・・・一番じゃねぇか・・・・・・?」 「って、そういえば、ゾロの彼女って、どんななんだ?そこは聞いてないぞ、俺。」 「そういやぁ、俺も知らないな?国に残してきているのか?」 「・・・・・あ"・・・・・・あ〜〜〜〜。」 「っていうか、ゾロに彼女って、似合わねぇなぁ〜〜〜。」 「今更言うなよ、ルフィ。・・・・しかし、そう言われりゃ、似合わないっていうより、イメージじゃないよな。硬派な人間って感じがしてたしな。」 「いやいや、そういう人間に限ってだな、彼女にメロメロだったりするんだ。俺、まだ途中だけど、心理学の方もちょっと本を読んで勉強したぞ。ゾロって実は案外尻に敷かれているんじゃないかな?」 三人三様好きなことを言う。 「なんだと!!そんなことねぇ!!断じてねぇ!俺は尻に敷かれちゃいねぇ!」 「なんだなんだ?だったら彼女の方がゾロにメロメロなのか?」 「当たり前だ!!関白宣言だ!!ヤツの方が俺にメロメロなんだ!!俺の言う事に逆らえない程にな!!」 ・・・・・。(怒怒怒怒怒) 「そうなのか?」 「当たり前だ。そりゃあヤツは俺にメロメロだからな。夕べだってなぁ、俺のビッグマグナムにヤツはもうアンアンヨガリまくりだし、悶えまくりだし、俺の砲身にドロドロに溶けちまうほどになっちまうし、それでも俺を放さねぇし・・・。俺よりもアイツの方が俺に夢中だ!」 「へぇ〜〜〜〜〜。そうなのか?」 「そうだ!!」 「すげぇ!!」 「さすがゾロだ!!」 「男の中の男だ!!」 どん!! と音が立ちそうなほどに堂々と胸を張って立ち上がるゾロにルフィ達は一斉に湧き上がってやんややんやの拍手を送った。 わぁわぁと盛り上がるルフィ達の後ろでサンジがヨロリとよろめいた。 アホアホアホアホアホアホアホアホアホアホ!!!(怒怒怒怒怒怒) 丁度、ゾロを囲むようにしてみた皆から後にいた為、頭を抱え込むサンジに誰も気づかない。 それよりも違うところで気づいて欲しくないことにウソップが気づいてしまった。 「って、夕べって・・・・・?ゾロの彼女は故郷かどこかの島に残してきたとばかり思ってたんだが・・・・・?」 「あ"!!・・・・・・・そ・・・・・・そうだ!!」 「そうなのか?ゾロの彼女は故郷にいるのか?」 チョッパーがキラキラした目で問うが、答えが返されずに、話が進む。 「でも、夕べってことは船に乗っている人間じゃねぇのか?」 「あ"・・・・いや、そりゃあ・・・・・・間違いだ!!夕べじゃねぇ。昔の話だ!」 慌てて訂正するが、ゾロのその表情が最初の言葉が間違いではないことを物語っていた。 「怪しいな、ゾロ・・・。もしかして、内緒なのか?彼女のことは。」 「あ・・・・・いやその・・・・・。」 口篭るゾロにウソップの目がキラリと光る。 「どうせばれちまうんだ。言っちまえよ。誰だ。ナミか、それともロビンか?」 「ナミじゃないか?ゾロ。お前、ナミには頭が上がらねぇもんなぁ。実はその分、夜の方はゾロが主導権握っているとか?」 「いやいや、案外、ロビンかもしれねぇぞ。一見クールな女性が夜になると娼婦に変わるってのもあるらしいぜ?」 それぞれが好き好きに勝手に解釈している。 ウソップ達の後ろでサンジは誰にも気づかれないように身振り手振りで「黙れ!」「話すな!」と合図を送っているが、自分達の推理に盛り上がって回りが見えなくなったウソップ達をなんとかして止めようと必死なゾロには何も届かない。ただ只管とダラダラと汗を流している。 「い・・・・いや・・・・。それは言葉のアヤだ。・・・・この船にはそんな女はいないし・・・・・・。さっきの話は昔のことだ。間違えた。」 「間違えたって感じじゃなかったぞ!!せっかくだから白状しちまえよ!!どうだ、ゾロ。ナミかロビンか?」 「・・・・・・・う。」 「どっちがゾロの彼女だとしても、怒らねぇって。まぁ、驚きはするが、祝福はするぜ?」 「・・・・・・?」 「どっちが、ゾロの彼女か気になるしなぁ〜〜〜。夜になると、豹変するんだろう?」 「あ〜〜〜〜。」 「ナミなんか若いからすげぇだろうなぁ〜〜。感じまくりか?昼間の男勝りとは違って女の魅力最大限ってか?あれでいて、マジ美人だし、身体の線も綺麗だからなぁ〜〜。そんな女が霰もない姿態をさらすなんて、想像しただけでたまらんなぁ。」 「ちょっと待て、ウソップ!ロビンも、すげぇぞ、きっと!女は年と共にすげくなるらしいぞ!テクはあるだろうし、なんたって咲き誇る手があちこちと身体を擦って、悶えて・・・・。たまらん!!」 彼女達が聞いたら憤慨しそうな言葉を次々に口にし、盛り上がり、股間を抑えるウソップとルフィにゾロは違う意味でスイッチが入ってしまった。 「待て待て、二人とも!アイツはナミやロビンなんて比べ物にならねぇくらい、すげぇぞ。」 盛り上がっている顔ぶれを余所に否定どころか、墓穴を掘らんとしている言葉を吐いたゾロに、後で珍しくナミやロビンの名前にすら反応せずずっと合図を送り続けていたサンジが「ひっ」と息を飲んだ。 一体何を言い始めるのだ、このマリモは・・・・・。 「アイツはナミなんか目じゃねぇくれぇ身体は綺麗だし、ロビンのテクにも負けず劣らずすげぇ反応をしめすぜ。」 まるで刀を抜いた時のような笑みで口角をあげる。 な・・・・・・・な・・・・!? 「それに締め付けもすげぇ。時々、入れた瞬間にイッちまいそうになるぐれぇにな。」 「ホントか、ゾロ!」 「すげぇ、どんなんだよ、そりゃあ!!」 違う所で食いついてきたルフィ達にゾロは自慢げに顔を上げた。 「あぁ、マジにやばいぜ。夜のアイツは!」 「うおおおおぉぉぉぉ!!聞かせろ、聞かせろ!」 「ちょっと待て、お前ら。せかすなせかすな。そこは順を追ってだな・・・。」 異様な盛り上がりを始めて聞き耳を立てる3人に、ゾロはその顔からは思えないほどに、調子に乗り出した。 もちろん、当事者になるだろうサンジのことなどすでに視界に入っていない。 「やっぱり最初は照れているのか、抵抗を見せるわけよ、アイツは・・・。だがな、その表情を見れば、それもポーズだってすぐにわかっちまう。だから向こうが止めさせようとした手をだな・・・・こう、抑えこんでやると、意外にもすぐに抵抗が止むんだ。これが一つのポイントだな・・・。」 「そうなのか?いやよいやよも好きのうちってやつだな!」 「それでゾロはどうするんだ?」 「まずはやっぱりキスから責めるのがいいだろう。それこそすぐに抵抗できなくなっちまうほどに崩れる。弱ぇんだよな、キスに・・・。」 「それはどんなキスなんだ!」 「もちろん、ディープってやつだ。舌を捻じ込んで絡めてやるとすぐにアイツも絡めてくる。唾液もぐちゃぐちゃに混じるほどに濃厚なヤツが効果覿面だ。それだけでもう半分あっちの世界に飛んじまって後が楽だし、楽しいぜ?」 「すげぇ・・・。」 「で、アイツの動きが止まったところで喉に噛み付くように舐めると、身体をピクンとさせてとたんにいい反応が返ってくるぜ。所詮、アイツは敏感なタイプなんだろうな。どこを舐めても、身体をピクピクさせて反応をする。同時に手の動きを止めないで撫で回すのも効果がある。いい感じに声も出てくるのが早いぜ。」 「ほぅほぅ・・・・。それで?」 「身体中を愛撫しながらも、下を解すのを忘れちゃいけねぇ、そこが一番大事だからな。」 これ以上ゾロの演説が続いたら間違いなく自分達の関係がばれるだろう。それだけは、免れなければならない。 サンジは慌てて口を挟もうとしてが、その隙間すらない程に彼らは密接に話を進めている。秘密とはいえ、当事者をそっちのけで話が進んでいくというのは、一体・・・・・。 「固いのか、アソコが・・・。」 「まぁな・・・。それがやっかいっちゃあやっかいだが、そこまで行く道程も楽しくってしかたねぇ。それに、その分締め付けがすごくていい。今までで抱いたどの女よりもいい。」 そりゃあ誉め言葉なのか、それともある意味貶し言葉なのか。 比べたくはないが。確かに、女性と比べれば、キツイのは当然と言えば当然だが。 サンジは、なんともいえない表情をやらたと盛り上がっている面々を眺めた。 ゾロは、サンジの様子などまったく気にせずにさらに調子に乗る。 「ゾロがそう言うんならそんだけいいんだろうなぁ・・・。」 「あぁ、14の時に旅に出て以来、いろんな女を抱いたがアレ以上のものは他にいねぇ。」 「特にどんなとこがいいんだ?」 「そりゃあ、締め付けがいいのはもちろんだし、反応がいいのはさっき言ったとおりだし、啼き声もいい。後、体力があるから結構長時間楽しめるぜ?」 「なになに?」 「あとな、無理な体勢でも、嫌がらないし、反って感じるらしいんだ、アイツは。長い時は一晩かけて、前から後からはたまた横から、もう体位変えまくりで持久戦って感じだったぜ?もうお互い、べちょべちょのぐちょぐちょだ。」 「いいなぁ〜〜〜、一晩やりっぱなしか?。そういやぁ、身体が柔らかいって言ってたじゃねぇか?そこはポイントか?」 「あぁ、もちろんそこもポイントだ。どんな体位も好みのままだ。今、全体位制覇を目指してるんだ。」 何!!そんなことをいつ目指した?そんな話は聞いてないぞ!!! 世界一の大剣豪だけでなく、世界一の性欲魔獣にでもなるつもりか!? っていうか、体位は普通がいいとさっきまで言っていたじゃないか?話が矛盾しているぞ!! サンジは口をポカンと開けて固まってしまった。 そういえば。 ここ最近確かに、変わった体位が多かったような気がしたような・・・しないような・・・。 でも、やはり誰もサンジの様子に気づかない。ゾロの話に夢中だ。 「今まで、どんな体位をこなしたんだ?」 「半分以上はこなしたな・・・。今度、島に着いた時には、ちょっとチャレンジしようと思っているのがある。」 「ナニナニ?何をするんだ?」 「そりゃあな・・・。」 とゾロがニヤリと特上のイヤらしい笑みをした時にウソップがハタと首を傾げた。 「おい、待てよ。ゾロ。今度の島に着いたら・・・・って、やっぱこの船のクルーじゃないか、相手は。誰だよ。」 と、一度は逸らして誤魔化した話題に戻ってしまった。 が、ゾロは調子付いている。 思わず、みんなには内緒という事を忘れてしまっていた。 「あぁ、そりゃあ、アイツだ。」 顎で杓って示す。釣られて3人が目を流したその先には、呆然と立ち尽くしていたサンジがいた。 「ありゃあサンジだぞ。」 「あぁ、あいつが俺の恋人だ!」 その言葉を発した途端、ゾロは男部屋の壁にめり込んでいた。 「なぁに〜。さっきから、煩いと思っていたら・・・・。どうしてゾロがこっちまで飛ばされてきてるの?」 ナミの声が壁の向こうから聞こえてきた。上半身は女部屋まで貫通しているのだろう。 パラパラと板屑を落としているが、ゾロは埋まったまま身動きできない。夜中に本当にはた迷惑な状況だ。 それだけサンジの怒りが絶大だったのか・・。 咄嗟のことに何も言えなくなっていた3人は、サンジ以上に青くなった。 「きょ・・・・・・・・今日のところは、御開きにするか・・・・・・。」 「あぁ・・・・・・。」 「俺、もう寝るよ・・・・。」 それぞれにそそくさと己のハンモックに潜り込む。 ハァハァと息荒く叫んだサンジの叫び声に耳を塞ぎながら。 「マリモのバカヤロウ―――――――――――ッッッ!!!!!!」 数日後、晴れて二人の仲は船公認になったとかならなかったとか。 END |
2007.11.14
ゾロ誕にもなりゃしない、アホ話・・・。久し振りの更新がこんなんですみませんでした。(土下座)