新春恒例(前半)
・・・・3・2・1・!! 「あけまして、おめでとう〜〜!!!」 テレビの画面から聞こえてくるカウントダウンに合わせて二人で新年の挨拶を交わす。 若林と岬はおコタに入りながらぬくぬくと年明けを迎えていた。おコタの上には豪華なおせち料理。 岬が手作りするというのを「年末を年始の準備で慌ただしく消化したくない」と制し、若林がホテルから豪華なおせち料理を取り寄せたのだった。 「なんだかすっごく贅沢なお正月だよね〜♪いろんな準備もせずにこんなに豪華なおせちがあって、なんだかのんびり過ごせました。ありがとう、若林くん。今年もよろしくお願いしま〜す♪」 「いえいえ、どういたしまして。たまにはのんびりな年末もいいだろ?いつも美味しい料理を作ってもらってありがとうございます、感謝してます。今年もよろしく〜♪」 ちょっとだけ丁寧な挨拶にくすぐったくなって、二人で笑いあう。笑う角には福来ると言うが、今がまさにそうだと岬は思った。 「さぁ、お屠蘇で乾杯といくか?」 おめでたく水引の結ばれた銚子から朱塗りの盃に屠蘇を受け、岬はそれを口に運んだ。健康の為に味醂につけこまれた漢方がほろ苦い。 「!?」 カタン 岬の手から盃がすべり落ちる。それを見てにんまりと若林の口に笑みが浮かんだ。笑う角には福来ると言うが、今まさに福を呼び込むところだと若林は思った。 「・・え?あ?・・ごめ・・こぼしちゃっ・・あ・・なに?・・どうしちゃ・・た、の?僕?・・」 岬はもう自分では体を支えていることが出来ず、ずるずると床にくず折れていった。 体中に起こる理由の分からない震えにも似た痺れに不安が募り、涙目になっている岬を若林は上から眺め、そっと頭を撫でる。 「フフフvだ〜いじょうぶ♪新年の準備は万全v源三くんにまっかせなさ〜いvv」 若林はそう言うと岬をお姫様抱っこで抱え上げ、意気揚揚といった感で寝室へ運んだ。 ![]() ベッドに下ろされた岬はホッと息をつく。きっと気の緩みから風邪でもひいたんだろう。若林はまかせろと言ったのだから新年早々から申し訳ないがゆっくり休ませてもらおうと思ったのだ。 「まずは着替えからな。服を抜いで・・・っとv」 いつものことであるから若林が服を脱がせるのにはそつがない。弾くように釦を外し、袖を抜く。するりとベルトを抜き、ジッパーを下ろすと同時に下着もろともズボンを脱がす。 あっという間に全裸にされた岬はこうこうと照らされる照明の下の自分の姿を思い、恥ずかしがってシーツを引き寄せようとするが震える指先ではそれも出来ないようだ。 「・・若林くん・・明かり、恥ずかしいよ・・早くパジャマちょうだい?・・」 縋るように枕に顔を埋める岬を見て、若林は舌なめずりをしながら着替えさせる。 「俺はこのまま眺めていたいけどな。少し明かりを落すか?それから今日はこれを着てくれ。」 手元のリモコンで室内照明の明かりを落とし、寝巻きに岬の腕を通させる。着せられた寝巻きは絹製か?とても肌触りが良いと岬は思いながら若林のなすがままに身をまかせていた。 が・・・ シュッと胸元で紐が結ばれ、着替えが終わった自分の格好を見て、岬は目をむいた。 「・・な、なんだよ?これ?これはパジャマとか、寝巻きとか言うものじゃあないだろう?・・若林くんっ!!」 岬が着せられたのは『赤い肌襦袢』だった。 「ん〜?お正月っぽくっていいだろぉ?今日はこれで楽しもうな〜?」 逃げ出そうにも体中が痺れて上手く動くことすら出来ない、さらに若林は荒縄を取り出すと岬の体に巻きつけ、後ろに回した両手を縛り付けた。 「・・〜〜いやぁ〜〜!なにこれ?ヤダ、やだぁあぁ〜〜!!」 体が動かない上に、縄で縛り付けられた岬には体を捩って嫌々をするぐらいが精一杯の抵抗だった。 しかし、それすらも若林を喜ばせる行為にしか成り得なかった。元々適当に着せ付けられた肌襦袢は岬が身を捩るたびに着崩れ、はだけて肌を露にしていったからだ。 「ああぁ〜〜vv色っぽいぞ、岬ぃ〜vvv新年早々こう上手く事が運ぶと今年も一年良いことがありそうだなぁ〜〜v」 それを聞いた岬は愕然とする。 「じゃ、じゃあなに?今体が痺れてるのって・・・」 「そう、一服盛っちゃいました〜♪クリスマスには先に気付かれちゃったからな〜。今日は縛り方もばっちり!前は縛り方が甘くって逃げ出されちゃったし〜。人間段々と進歩していくモンだな。」 うんうんと1人頷く若林。岬はもうただ泣くしかなかった。 「ううぅ〜〜。卑怯者〜!変態〜!好き者〜!ばか馬鹿バカ!!!い〜や〜だ〜〜!!助けて!翼く〜〜ん!!」 「フフフvムダだぞ、岬。今ごろ翼も痺れて動けなくなってるだろうしな〜♪」 最近若林は自分の詰めの甘さを認め、三杉に教えを請うことが多くなったのだった。三杉の方も若林と岬が上手くいってくれなくては困る。ということで若林と同盟を組むことにしたのだ。嫌なタッグもあったものである。 「さぁ〜〜てぇ〜〜vどこからいただこうかな〜vv」 「・・いや・・解いてぇ・・ね?若林くん・・・」 涙で瞳をうるうるさせながら懇願してくる岬を愛しそうにながめ、若林は囁いた。 「ごめんな、岬・・・俺、そうやってうるうるしながら怯えるお前の顔が大好きなんだぁ〜〜vvv」 その言葉に岬はキッと眉を吊り上げ若林を睨み付ける。 「止めてよ!変態っ!そんな君なんか嫌いだっ!!」 「ごめんな、岬・・・俺、そうやって強がるお前を無理やり犯すのも大好きなんだぁ〜〜vvv」 にやりと笑って胡座をかいた自分の膝に岬を抱え上げる。 「どっちなんだよぉ〜!!」 「どんな岬くんでもおいしくいただきます♪ということさ。」 続く |