世界一になった夜

「あれか?ゲンゾーが言ってた、ツバサ・オオゾラというのは?」
「あぁ、そうだ。今に忘れられない名前になるゾ。」
「そうか・・・。・・・ところでゲンゾー、ツバサは彼氏いるのか?」
まじめな会話をするはずだった。翼の才能は万国共通でシュナイダー達にも日本は要チェックと若林は言いたかったのだが、一体何をどうすればそんな話になるのか・・・?
「か・・・彼氏ぃ?彼女の間違いじゃないのか?」
動揺しながらも、なんとか平静を装い返事を返す。
そんな若林の努力をわかっているのか、いないのか、シュナイダー。
「彼氏・・・だ。なぁ、ゲンゾー、ツバサはおいしそうだな。サッカー以外でも、要チェックさせてもらうよ。」
「・・・・・。」
(シュナイダーって只者じゃないと思っていたが・・・。翼に忠告しとかなくては・・・)
何て話そうと頭を抱える若林を横にシュナイダーは、ニヤニヤとピッチに立っているツバサを眺めているのであった。


「翼、今日の試合、お前調子良かったな。」
国際Jr.ユース大会に向けての練習試合も終わり、観客席でシュナイダーと一緒に観戦していた若林は彼のあの一言に、翼に言葉を掛けながらもあわてて回りをチェックする。シュナイダーは確か先に帰ったはずだ、と呟きながら。
「うん、ありがとう、若林くん。俺、今絶好調だよ。」
「そうか、それはよかったな・・・。」
もう一回回りを見まわす若林。挙動不審である。
「どうしたの?若林くん。」
若林の行動を不思議な顔で見つめる翼に、あわてて『なんでもない』と言いながらも、
「それより、・・・ドイツのシュナイダー。彼は要注意だゾ!」
思わず忠告してしまう声に力がはいってしまった。・・・が、当の翼は当たり前だが真の意味はわかっておらず、ニッコリとする。
「皇帝、カール・ハインツ・シュナイダーだね。やはり、今大会一番の注目選手だよね、彼は・・・。俺、がんばるよ!」
(がんばるよ・・・って、そうじゃないんだ〜!違うんだ〜っ!意味が違うんだ〜〜っ!!)
本当の事が言いたいが言えないジレンマに、若林は脳内でのたうちまわる。おかげで顔は引き攣り笑いをしていた。本人は普通に笑っているつもりなのだが・・・。
(ちくしょ〜〜!!こうなったら、俺がてってー的に回りをガードしてやるぜっ!だいたい翼はなぁ〜、翼はなぁ〜〜っ・・・)
俺のだと言えない若林だった。
大空翼・・・。実は全日本の中でも一番、競争率が高いのであった。







国際jr.ユース大会も日本の優勝という、皆の予想を大きく外す展開で、それでも無事に終わった。優勝した当の日本のメンバーは予想外という訳ではなかったのだが・・・。
しかし、優勝という事は、やはり世界一という事で、全日本の皆の盛り上がりは半端ではなく、その夜の閉幕パーティはそのまま日本の優勝祝賀パーティと化してしまった。

あちこちの国の報道陣がひっきりなしに翼にインタビューをし、あちこちの国のサッカー協会の人間がひっきりなしに翼に契約の話を持って行く。いかにも、パーティの主役は大空翼かの様に皆が彼の元に集まっていた。
その様な状態もあってか、若林はすっかり大会前のシュナイダーの言葉を忘れてしまっていた。そして、大会の後の別れを惜しむかの様に日本のメンバーと歓談していた。

「若林さん、ぜひとも早くプロデビューして下さいね。」
「俺達、若林さんの活躍、期待していますから・・・。」
「おう。今度からは翼もいないんだ。お前達が一番がんばらないと、日向の天下になっちまうからな。ヤツの好き放題にさせるなよ!」
「何ぬかす、若林!高校三年間、今度は東邦、日向小次郎の時代だっ!!」
「いやあ、日向!若林の言う通り、東邦の好きにはさせないゼ!!」
などと盛り上がっていた。そこへ・・・。

「あれ?ここにもいない。」
と、岬が若林達の輪の中を覗きこんだ。
「どうした?岬?」
「うん・・・、翼くんがいないんだ。さっきまで向こうでサッカー協会の人と話していたはずなんだけど・・・。」
と、協会のお偉方達が今だ楽しく談笑している方を目で指す。確かに今その場には翼の姿は見えなかった。
岬と石崎達の会話を聞いて、若林は自分の中にサーーッと血の気が引く音を聞いた・・・気がした。突然、大会前になされたシュナイダーとの会話を思い出す。
「ま・・・まさか。」
「どうした、若林?顔色悪いぞ。さてはワインでも飲みすぎたか?」
なんて言葉もすでに耳に入ってない。
(シュ・・・シュナイダーのヤツ・・・!!)
若林は大会前に誓ったはずの翼の護衛(?)を忘れて楽しく話し込んでいた自分を呪った。





「大丈夫か?ツバサ・・・。」
「あ・・・うん。ありがとう、シュナイダー。ごめんね、君に迷惑かけちゃったネ。君だっていろいろ挨拶しなきゃいけない人、いたんだろ?」
話しながら翼は、シュナイダーからもらった水を飲む。少し顔色が悪い。
ここはパーティ会場を提供しているホテルのある一室。
パーティが終了してから各自の宿舎となっているホテルや施設に戻らなくてもすむように、大会主催者側の配慮で選手や関係者はそのまま会場ホテルに泊れるようになっていた。

翼は大勢の人達との挨拶や歓談の中、知らない内にかなりアルコールを飲んだようで、―そもそも未成年に勧める大人がいるのもどうかと思うが―廊下でボーーッとしていた。そこをシュナイダーに見つかり、介抱され彼が利用する部屋に連れて来られた。
「なあに。俺も、もう引き上げようと思っていたところだ。気にするな。」
「うん・・。でも、岬くん達に黙って来ちゃったし、戻らなきゃ・・・。」
ソファに横になっていた翼は起きあがろうとしたのだが、本人が考えていたよりかなり酔いが回っているらしく上手く起き上がれなかった。シュナイダーはそれを見て、やさしく手を添える。
「あ・・・れ〜〜〜?」
「あぁ、ツバサ。だいぶ酔いが回ってるな。そもそもアルコールには慣れてないのだろう?無理はするな。今日はこの部屋で寝ていってかまわないから。後で俺から日本チームの方には連絡しておく・・・。」
「うん・・。ホントにごめんね。」
おとなしくシュナイダーの促すままもう一度、ソファに横になる。この方がやはり翼には楽なようだ。
「日本人の悪いクセだな。」
「え?」
「すぐ謝る。何か、悪いことでもしたのか、ツバサは?」
「う〜〜ん。・・・ごめん・・・」
かわらずボーーッとしながらついつい謝る翼を横目にしてシュナイダーはフッと笑うと、部屋の据え付けの電話の受話器を取った。
「すみません。パーティ会場につないでください。日本チームの・・えぇ、捕まるなら監督かコーチを・・・。えぇーーーー。」
朦朧としながら、シュナイダーの会話を聞いていた翼はもそもそと動きだした。

ガチャン
受話器を置いたシュナイダーが気がついた時には、翼はすでにソファの上で丸くなっていた。
「どうした、翼?」
「寒い・・・」
心なしか、体が震えているようだった。
「冷房が効きすぎたようだな。待ってろ。すぐに止めてこよう。それとソファはやめて、ベッドにしたらどうだ?」
「うん。ベッドの方で寝る。」
のっそりと翼は起き上がり、被っていたシーツを体に巻きつけたまま、ゆっくりと歩き出した。ずるずるとシーツが引きずられていく。
・・・と、足取りがおぼつかないのか、すぐ横に置かれてあった椅子の足につまずく。

ガタッ

フワッ

転ぶかと思われた瞬間、シュナイダーが手を出し、支えてくれた。
「あ・・・ありがとう・・・。」
「フラフラしてるゾ。捕まれ。」
「うん。今日はシュナイダーに助けらっぱなしだね。」
支えられながらも、ニッコリとする翼。
その言葉を間近に聞いたシュナイダーは・・・。
「感謝してるなら、お返しをくれないか・・・。今から・・。」
「えっ?」
キョトンとする翼を気にも止めずベッドの前まで来ると、そのまま翼と一緒にベッドに倒れこんだ。

バフッ

そのままシュナイダーは、翼の上に被さってくる。
「???」
元々、アルコールで頭がボ―ッとしてるところに突然のシュナイダーの行動に翼は何が起こったのか、これから何が起こるのか、まったくわからなかった。

気がつけば、シュナイダーの唇は翼の唇に重なり、いつの間にかその唇も遠慮のないものになっていた。序々に深く、激しくなっていく。
「えっ・・・えっ・・・ちょ・・・シュナイダー??」
思考回路がまとまらないまま、翼はシュナイダーの好きなように組み敷かれていく。
抵抗できない翼に気をよくしたのか、シュナイダーは一度離した口唇を再度塞ぎ、そのわずかな隙をついて舌を差し入れてきた。
「ん・・・んんっ・・・」
苦しそうに顔を背けようとした翼だが、シュナイダーの左手が翼の顎を強く押さえて、それを許さなかった。
逃げる舌を追いかけるようにしばらく口の中を貪っていたが、唇を離すと、今度は空いている方の手で翼のシャツの釦を外し始めた。
「なに・・・するの?・・・シュナイダー・・。」
「お返し、くれないのか?」
「え・・・」
お返しという言葉の意味がわからなかったのか、まじまじとシュナイダーを見つめてしまった。・・が、しばらくしてシュナイダーの意図を理解し、翼は顔を真っ赤にしたと同時に、抵抗を始めた。
「シュナイダー、・・お・・おれ・・・。」
なんとか体を動かして逃れようとする。が、やはりまだ、お酒の為か、体がいうことをきかない。その上、翼より昼間の試合の疲れが残っていないのか、シュナイダーの力は以外にも強かった。
「ツバサはかわいいなv」
「え・・・ええ〜〜〜っ」
ア然とする翼をよそに、シュナイダーの手は、緩まるどころか、増々無遠慮に翼の体の上を滑っていく。
ズボンのジッパーを下ろす音がしたかと思うと、あっという間に手を差し入れられた。
必死で抵抗を試みる翼を押さえ込み、そのものを握り締める。
「あっ」
さっ、と翼の頬が赤く染まる。
「やっ・・。やめ・・あ」
「大丈夫だよ、ツバサ。」
ニヤリと笑うと、下着の上から翼自身を扱きだした。
「やあっ。・・やめてっ・・」
突然のことで何もわからないという風に頭を振り、じわじわとやって来たなんともいえない感覚をやり過ごすしかなかった。
「・・んっ。・・あっ・・。シュナイダー・・・。」
我慢しようと唇をきつく噛み締めていたが、つい声が漏れてしまう。何も知らないウブな者が発しているとは思えない程、艶のある声だった。
その声に煽られたのか、シュナイダーの指の動きも一層激しいものになっていく。下着が持ち上げられるほどの膨張。
「ツバサ・・・」
「あっ・・。あぁっ・・・。」
今まで下着の上から攻められていたが、今度はズボンと下着を一気に下げられる。下半身が露になった。
恥ずかしさのあまり、脚を閉じようとするがシュナイダーに上手く阻止される。おもわず横を向く翼にシュナイダーはそっと耳元で呟いた。
「緊張しなくても大丈夫だから・・・ナ。すぐに気持ち良くなるよ。」
すでに耳まで真っ赤になった翼だったが、抵抗するのをやめ、おとなしく頷いた。
なんとなく雰囲気に流されていると自分でもわかった。いけないと思う。しかしもう、このまま、されるがままでもいいかとも思い出していた。翼もすでに後戻りできない状態になっていたから。
シュナイダーは、そっと直に翼自身を包み込むように握ると、今度はゆっくりと手を動かし出した。
「あっ・・。ああっ・・・ん」
初めて人に触れられるその感覚に、思わず嬌声が上がってしまう。
その耳に入る自分の声が恥ずかしくて、さっと手で口を押さえるのだが、その手をシュナイダーに捕まれた。
「ツバサの声が聞きたい。聞かせてくれないか?」
翼の目を覗きながら呟く。
自分のそれとは違う色の瞳。『皇帝』と人々から称されるこの人物の瞳は深い蒼をしていた。
眼と眼が合う。シュナイダーの優しい口調の中にもやはり凡人とは違う、恐ろしい程の獣の部分をその瞳の中に見たような気がして、翼は思わず体を震えさせた。
「怖がらなくていい・・ツバサ・・・。」
翼の心情を察したのか、シュナイダーは、さらに優しさを込めて翼に触れる。
「あんっ・・。んんっ・・。シュナイダー・・・あぁ」
優しく。とは言っても、行為自体に何ら変わる事がない激しさがあり、翼を頂点まで上り詰めて行く。
「シュナイダー・・おねがい・・・。もう・・・ダ・メ・・。」
絶頂を迎えるのがわかった。
「ああっ・・」

シュナイダーの手の中に己を放った。皇帝の手に自分の白濁した液。
己を解放したはずなのに、今だ興奮さめやらない。ハァハァと胸で息をする翼は、こんな経験は今までなかっただろうが、何故かとても艶っぽさを秘めていた。
そんな姿を見たシュナイダーは、もはや”優しさ”なんてものを忘れ、己の欲情のまま動きだした。
ぐいっと足を持ち上げたかと思うと、そのまま、誰にも見られた事がないだろう部分に顔を埋める。
「はっ・・。あぁ〜〜〜ん。」
一瞬、何がどうなったのかわからなかったが、しかし、先程よりも声が出てしまう。
「やあっんっ。シュナイダー・・やめてっ・・!」
何とかしてやめさせようとするが、もはやどうにもならない。
しかも、増々遠慮なく動きで舌を蕾に這わせて行く。
ピチャピチャといやらしい音まで聞こえ・・・。
翼の神経は焼き切れてしまった。更なる嬌声が上がる。
「あっ・・んんっ・・。あっ・・はあっ」
「ツバサ・・。素敵だよ。」
翼の声にすっかり気をよくしたシュナイダーは、舌によって解されたそこに今度は指を入れていった。ズブッと差し込まれた指は先ほど付いた翼の白液がまだ残っていた為、簡単に蕾に飲み込まれていく。
翼はとても初めてとは思えない程に反応し、感じていた。
指は1本から2本・・3本へと徐々に増えて行く。
「はっ・・あんっ・・。シュナイダーあぁ・・・シュナイ・・・ダァ・・。」
「ツバサってこういうの、慣れてる?」
突然のこのシュナイダーの言葉に思いっきり頭を振る。
「う・・んんっ・・。こんな・・ことっ・・はじめ・・てぇ・・。シュナイダー・・ひど・い・・・。」
「すまん、ツバサ・・。じゃあ、ツバサって感じやすいんだな、きっと・・。」
話しながら指を抜いたかと思ったら、今度は思いっきりすぐ上に厚い胸板が圧し掛かってきた。
「今度はかなりキツイかもしれんが・・・。力を抜いて・・・。ゆっくり息を吐くんだ。」
言われるままに、体を楽にしようとしたが、

ーーーーーーーー!!

あまりの異物感に顔を顰める。さっきとは比べ物にならないくらいの圧迫感。思わず目から涙が出てしまう。
しかし、シュナイダーは、冷静に体をゆっくりと進めていく。
「すぐに気持ち良くなるから。」
まるで、その言葉が呪文のように、確かに少しずつではあるが、圧迫感が違う感覚に変わっていった。
先程感じた、何か気持ちいい感覚が下から身体の奥に広がっていく。
「あ・・ああんっ。シュナイダーあぁ」
「気持ちいい?ツバサ・・」
「う・・んっ・・。気持・・ちい・・いっ。あっ・・はあんっ」
それでも初めてで、どうしてよいかわからないせいか、必死にシュナイダーに縋り付く。翼の爪がシュナイダーの腕に食い込んだ。
その翼を気にしつつも、シュナイダーは少しずつ動きを早めていく。
「ああっ・・。あっ・・・・・。はぁぁっっ。・・・・もう・・っ」
ついさっき解放したばかりの翼のものが、いつの間にかまた、はちきれん程になっていた。シュナイダーもそれに同調するかのように、限界になっていて・・・。
「ああぁっっ・・うふぅぅ・・。・・・・シュナイダーっっぅぅ」
「ツバサっ、一緒に・・・。」
ふたり同時に頂点を迎えた。






しばらくして、翼はうっすらと目を開けた。
「あ・・・俺・・・・、気、失ってた・・・?」
「あぁ。大丈夫か?ツバサ・・すまん。無理矢理だったな・・・。」
「ううん。俺、・・こんな事されても、何故かシュナイダーの事、怒れないんだ。」
「又ドイツに来い。今度は遊びにでも。」
「うん。」
「ゲンゾー達には、内緒にしておいてくれるか?」
「ん・・・。言えないよ。若林くん達には、こんな事・・・・。」
「ツバサは、かわいいな。」
「え〜〜っ。もうっ、シュナイダーったら。」
すっかりふたりの世界に浸っていた。



しかし、そのドアの外には、若林以下、全日本の一部のメンバーが今にもドアを蹴破ろうとしていたのだった。


・・・・・もう遅いけどねvv


END





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コメント:エロです。ただのエロ!(のつもり・・・。)←まだまだ??
その昔(笑)まだ、サイトを立ち上げる前に、千ちゃんに上げるという約束で書いたものです。(でなかったら率先してシュナv翼は書かないだろう。きっと)
どうして、シュナv翼になったのかは・・・・覚えてない。(さすが、ボケ主婦)翼受ということ・・だったんじゃないかな〜と。
今もかわらずヘボだけど、もっとヘボだったので、多少(多少?!)直しました。(これでか!)
以前掲示板でこの話に少し触れたのですが、漸く(?)UPしました。
まぁ、『翼くんおめでとう月間』ということと千ちゃんのOKがあったので(これはかなり昔にOKをもらっていたのだが)、今月UPしたのですが・・・皆様すみませんでした〜。(土下座)
何がすみません。かというと・・・いろんな意味でよ!



岬くん・・・。ホントにちょい役でごめんね。