夜の蝶
真夏の夜の出来事だ。
全日本の合宿中、俺の部屋に可憐な白い蝶が舞い込んで来た。
うっすらと汗をかいた、今にも切なさではちきれそうな岬の顔。
「若林くん・・・お願い。僕もう我慢できない・・・」
「岬・・・またか?明日まで待てないのか?今日はもう遅いんだぞ」
俺はおもむろに時計を覗き込む。時刻は深夜1時過ぎといった所。
この時間まで読書をしていた俺も、明日の練習の事も考え、もういいかげん休もうかと していた。
「お願い・・・今、今がいい。このままじゃイライラしちゃって眠れないよ・・・・」
すがるような瞳と艶やかな声音で俺の渇ききった心に訴えかける。
こんな岬の頼みを無下に断れる人間なんてこの世に存在するはずもない。
岬あせるな・・・落ちつけ・・・じゃあ準備しよう・・・ほらそこに座って・・・
シャツを脱ぐか・・・?
実は俺と岬のこの関係はもう3年以上も続く。
俺の中には疚しさの欠片もない。岬もきっとそうだろう。
諸々の準備が済むと、俺は岬に確認の声をかける。
「いいか?始めるぞ・・・」
「うん、お願い。いつもみたいに優しくね・・・」
岬は俺に全てをゆだねている。快感、征服感。
俺次第で岬がどうにでもなると思うとたまらない・・・
俺は岬の後ろに廻り、腕と指先をゆっくりと使う。
美しい岬を壊してしまわないように入念な注意を払う事も忘れない。
目を閉じた岬のうっとりとした表情。
俺は上から下へと腕を動かしながら岬に語りかける。
「・・・岬、どうだ?こんな感じ・・・?」
「うん・・・若林くん上手。でも少しくすぐったい・・・」
「岬は敏感だからなァ・・・」
俺は岬のソレを優しく掴み、宝物を扱うようにそっと口元に寄せる。
「岬のは綺麗だな・・・艶があって・・・いい匂いだ」
岬の頬が少しばかり紅潮している。でも少年じみた恥じらいの笑顔。愛しいくらいだ。
「やだ・・・若林くんそんな・・・恥ずかしい・・・」
「だって、本当の事だ」
「若林くんが羨ましいよ。逞しいじゃない・・・黒くて・・・太くて。男らしいよ・・・」
「そうか?そうでもないぜ」
こんなたわいもない会話を繰り広げながら俺と岬の緩やかな時が過ぎてゆく・・・・
もう20分程経過したのだろうか・・・?
「そろそろ・・・いいか?」
「・・・う、うん。でも人からやってもらうのはどうしてこんなに気持ちがいのかな・・・?」
俺はこの行為が終わる瞬間の岬の蕩けそうな眼差しがたまらなく好きだ・・・
「ありがとう若林くん・・・すごくスッキリした・・・」
「そうか?良かったな」
「若林くんもしてあげようか?」
「いや、今日はいい」
「そう?床が汚れちゃったね・・・・ゴメンね、いつも汚くしちゃって。僕、今から掃除するよ」
「いや、構わないよ、俺がする。岬のだから汚いなんて思わない・・・」
「ありがとう・・・これでゆっくり眠れるよ。明日も練習がんばろうね!おやすみvv」
夜の蝶は華麗な笑顔を見せながらひらひらと舞っていった。
翌日、合宿所の食堂で岬が俺の為にオムライスを作ってくれた。
昨日のお礼らしい。
俺は決して見返りは求めていないが食べ物なら有り難く頂戴する主義だ。
合宿中、俺はみんなの散髪を担当する。キーパーは手先が器用というのは本当かもしれない。
俺は散髪のお礼にケーキやケンタッキー等をみんなから頂く(いや強奪する)
だからこうして太るのだ。とほほん。
今夜は日向の散髪をする予定だ。
岬が蝶なら日向は「夜の蛾」って感じだろうか?
俺と同じように太くて硬くて黒くて逞しい日向のぼさぼさ髪をいじくるよりは
岬の柔らかで敏感な髪を触ってる方がマシだ。
俺は末っ子だから弟が欲しかったんだ。岬は俺の弟(妹)みたいで愛しい。
日向のヤツ、坊主にしてやろうかな・・・
俺はそんな悪戯心に思い耽りながら、指毛のわさわさ生えた右手の親指、人さし指で
ハサミをチョッキンコチョッキンコ動かす動作を続けていた・・・
終
コメント:モモさまvvありがとうございます。サイト開設祝いとしていただきました〜vv
髪の毛って結構、萌えポイントだったのですね。新発見!
ささっこも源三に切ってもいらたい〜〜〜〜〜!!
ちなみに黒くて太くて逞しい髪の毛です。(誰も聞いとらんって!!)