恋してる?愛してる?1




「あ〜。こんな楽しい夜は、初めてだ!!いや〜、いいなぁ〜〜〜vv」
「あぁ、最高だ!!」
「あたしも楽しいわ!ほら、ウソップももっと飲みなさい!」
「お〜〜〜!!俺様は、まだまだいけるぞぉぉ!!」
「メシうめぇぇぇぇ!!」

誰もが陽気に笑い、料理に手を出し、酒を呑んだ。
メリー号甲板で盛大な宴会が開かれている。と言っても、メンバーはたったの5人。だが、ルフィの並ならぬ食欲の関係で何十人分かという料理が甲板を埋め尽くした。
メリー号に乗っての最初の料理がいきなり宴会料理になるとはサンジも思わなかったが、幸い、ナミが加わったココヤシ村を出てもすぐに補給できる島が近くにあるというから、ナミに頼んでそこで食糧を補給をする予定だ。サンジは、せっかくだからと、腕を振った。


ルフィにゾロ、ウソップ。出来たての海賊団。サンジは、あとから加わった。
仲間だと思っていたナミは、彼女の事情で一旦姿を消した。
サンジの大切な場所、バラティエをクリークに襲撃された時には姿を消していたナミ。それを先にゾロとウソップが追いかけて、ルフィとサンジはバラティエを襲ったクリーク達を片付けてから追いかけた。
結局、ココヤシ村でナミを苦しめていた魚人と闘うことになったが、それがナミの涙を振り払うことになった。
村のみんなも魚人の支配から抜けだし、みなが幸せだ。
そして、新たに5人で出港。

少人数ではあるが、改めて、麦わらの一味のスタートでもあった。





今は、サンジ自慢の料理もあらかた片付き、残り僅かになっていたが、さすがのルフィも満足したようで、料理を作り足す必要もない。
サンジもみんなに加わって、酒と食事を楽しんでいた。
気付けば、ルフィは甲板で大の字になって鼻風船を作っている。ウソップもまた、それに続いて甲板で横になってしまったようだ。幸いにも、暑いくらいの気候なので、風邪をひくことはないだろう。
それでも、とナミが船室から持ってきたシーツをそれぞれに掛ける。
サンジは、バンと両手を後ろにつき、座り込んだまま空を仰いでいた。甲板にいくつか置かれているランプは、足元だから、上空を見上げれば満天の星空を望むことができた。
暫く空を見上げていたサンジもまた酔っているようで、ランプの仄かな明かりでもわかるくらい赤い顔をしてへらへらと笑っている。でも、それもつかの間、そのまま後ろに倒れるようにして横になった。

「まったくもう!サンジくんも、結構弱い方なのね・・・。」

ナミは溜息を吐きながら、サンジにもシーツを被せる。
と、残ったのは、ゾロとナミだけになった。ナミはサンジにシーツを被せるとゾロの隣に座った。

「ねぇ、ゾロ。」
「あぁ?」

一旦ゾロを呼んでから、ナミは確認するように寝転がる3人に視線を流した。
何か3人に聞かれたらまずいのかと、ゾロも同じように3人の方を見る。
と、振り返ったナミと目があった。
顔がほんのりと赤い。
酔いが回ったのかと思ったが、言動はそうではないことを伝えている。だったら、一体何の話か。
ナミが改まった感じで、ゾロに一歩ズリ寄った。

「この船ってさ、若い男女で構成されているわよね。」
「あぁ。」
「で、この船には、若い女は私1人。しかも、美人でスタイル抜群!」
「あのなぁ・・・、てめぇ、自分でそういうこと言うか・・・・。」

なんとなく、ナミの言いたいことが分かってゾロは後ろ頭をボリボリと掻いた。

「心配せんでも、てめぇに手を出すなんてことにはならんから安心しろ。」
「・・・・。」
「どっちかっつうと、あのコックの方が怪しいもんだが、どうやらただのエロコックってわけじゃねぇみたいだし・・・・。ま、女を大事にしすぎて童貞ってヤツかもな。」

クククと喉で笑うゾロにナミは少し口調を強めた。

「違う!そうじゃないの!」

ナミはさらにゾロに詰め寄る。もう身体がくっつきそうな勢いだった。

「あ?」
「その逆よ!」

ナミは両手をついて真正面に来る。下から見上げる位置から凄むナミにゾロはたじろいだ。ナミの勢いに、ズズと一歩後にずり下がってしまう。

「私・・・・ゾロならいいと思ってんの。ほら、ここ海賊船でしょ?そういうこともあるの、今までの泥棒暮らしで見ているし、実際、掴まって・・・・そういうこと・・・・されたこともある。だから、この船の秩序を保つためならいいと思ってんの。」
「ナミ・・・・。」

ゾロの目が険しくなる。
ナミは、まったく酔っていないと表情が訴えている。ゾロもまた、酔ってはいない。だが、それでも酒を飲んだ場でなければ、できない話だったのだろう。

「自分の言っている意味わかってんのか?」
「えぇ。」

真剣な表情の中にもかすかに見せる震えは怯えか、不安か。
ゾロは間近にあるナミの顎をそっと掴んだ。途端、ビクリと身体が震える。

「覚悟はあんのか?」
「もちろん。」

じっとお互い見つめ合うが、先にゾロが大きくはぁ、と肩を落とした。

「ゾロ・・・・?」
「まずよぉ、この船の処理係になるってんなら、俺限定ってわけにはいかんだろ?俺だけにその話すんのおかしくねぇか?ルフィ達には言ってないだろうが・・・・。まず、そこが矛盾してねぇか?」

ゾロは、掴んでいた顎からゆっくりと手を離した。そのままボリボリと今度は肩を掻く。
ナミはそのまま、じっとゾロを見つめる。

「でも・・・・。ルフィ達は・・・・。」
「あぁ、ルフィやウソップは、まだそんな感じじゃねぇもんな・・・・。年齢は別にしても。どっちかってぇと、冒険の方で頭がいっぱいなんだろう。」
「サンジくんは、ゾロが言った通りだと思う。女性を大事にし過ぎて手が出せないってタイプ。私もそうだと思う。だから、残りはゾロだけ。」
「ま、考えりゃそうだろうな。」

ゾロはチラリとサンジに視線を流し、またナミを見つめた。

「だが、奴らも男だぜ?それに・・・・でも、そうだな。だが、もう一つ言いてぇのは、奴らもきっとそうだが、俺もそこまで落ちぶれちゃいねぇってことよ。」
「え?」
「いくら海の上、若いとはいえ、仲間に手を出すほど落ちぶれちゃいえねぇよ、俺は。ルフィ達もきっとそうだ。お前は仲間になったんだろう?俺は、魔獣とは呼ばれてたけどな、魔獣の意味、違うだろうが!」



「よく言った!マリモ!!」

ゾロの言葉が終わった途端、パンパンと乾いた拍手と共に後ろから声が掛かった。
二人して振り返るとサンジが、いつの間に起きたのか、寝ていた場所に座っていた。

「ちっ。寝たまんまでいいのによ・・・。」
「てめぇ、わかってたんだろうが、俺が起きてたことによ。ま、二人っきりでどうなることかと思ったが・・・・。」

サンジは足元で皺になってしまったシーツを手に取ると、ゆっくりと立ち上がって二人に近寄った。
そして、そのままパサリとシーツをナミの肩に掛ける。
ナミはサンジが起きていたことに、驚きを隠せない。隣で屈んだサンジを目を見開いたまま見つめた。

「ナミさん。きちんと言葉で伝えようよ。そんなんだと、このマリモ、誤解したままだよ。」
「・・・・・サンジ・・・・くん?」

サンジの言葉に、ナミは少し上の位置にあるサンジの顔を見上げた。

「好きなんだろ?ゾロのこと。」
「っっ。」

ナミのシーツを掴む手にギュッと力が入った。

「一目惚れ?こんな緑に・・・。」
「緑は余計だ!!」
「こんなののどこがいいのかわかねぇけど、正直に言えばいいんだよ。」

サンジの言葉に声を荒げるゾロだが、サンジはスルーした。ゾロはチッと舌打ちする。

「サンジくん・・・・。」
「きちんといいなよ。」

ナミを見つめるサンジは穏やかで。
出会ってまだ間もないのに、この男の優しさが身にしみてくる。出会った時は、なんてフェミニストなんだろうと思ったが、人は見た目だけではわからないもんだと、ナミは思った。目の前のゾロのように。
サンジの言葉に勇気づけられたのか、ナミは一旦キュッと目を瞑ると、改めてゾロを真正面から見つめた。
ゾロもまた、逃げずに真正面から受け止める。

二人の様子にニコリとするとサンジはすっと立ち上がった。


「待て。」

ゾロの言葉がサンジの歩を止めた。

「なんだよ。」
「てめぇも、ここにいろ。」
「何言ってんだ!!せっかくのいい雰囲気じゃねぇか。ま、まわりの光景は別として・・・。せっかく俺様が愛しのナミさんの恋路を邪魔しないように遠慮しようとしてんのに、まだなんかあんのか?」

ギロリと睨むサンジにゾロは目を細めて見返した。立ち上がったサンジを見上げた瞬間は細く鋭かったが、すぐに穏やかになる。
なんなんだ。
せっかく二人きりのシチュエーション(後方に鼾を掻いている者が二人いるが)をゾロはどうして、とナミは茫然と二人のやりとりを見つめた。

「てめぇにも、・・・・関係がある。だから、ここにいろ。」
「は?」

ゾロの言葉に二人して目をパチクリする。一体どうなるのだろうか。

「チッ。」

わからないまま、しかし、サンジはゾロの言葉を素直に受け取って、ナミの横に座り込んだ。
ただナミへの気遣いはもちろん残して。

「ナミさんが嫌なら、俺は退散するけど・・・・。」

申し訳なさそうに横目でチラリとナミを見る表情に、ナミは「ううん」と首を振った。
ゾロの気持ちとサンジがここに残ったことはきっと関係があるのだろう。もしかしてそれが、自分が泣くことになろうと、受け止めなければいけないのだろう。この船で一緒に進んでいくには。
さっきの言葉は、間違いだったとナミは思う。そこを正してくれた二人には、今後のことは別にしても感謝だ。

ナミは、隣に位置するサンジの手をギュッと握った。ナミの意図がわかったのか、サンジは穏やかに握り返してくれる。勇気が湧いてくる。
ナミは、改めてゾロに向き直った。

「ゾロ・・・。あんたの事が好き。出会ったその瞬間から、あんたに惹かれてしまったわ。」
「・・・・。」
「こんなこと、言うつもりなかったけど、アーロンパークで戦ってくれた姿を見て・・・もう我慢の限界だと思った。伝えたくて仕方なかった。」
「ナミ。」
「ナミさん・・・。」

たった一言だがナミにとってはとても勇気のいったことだろう。サンジの手を握っているナミの手は汗でびっしょりだ。
それでも言うとナミは、気が抜けたのか、ガクリとうなだれた。サンジは、ゆっくりと握っていたナミの手を外すと、横からそっと彼女の肩を擦る。

「どうだ、ゾロ?こんな麗しのナミさんの告白、もう二度と聞けないぜ?こんな素晴らしい女性、二度と会えないぜ?もちろん、彼女の気持ち、受けるんだろ?」

ナミの変わりにサンジが返事を促す。
ゾロは、真っ赤になって俯くナミとナミを庇うようにして横に位置するサンジを見つめた。

「てめぇは、いいのか?愛しのナミさんが、自分じゃない男に告白して。」
「あ〜〜〜。まぁ、せっかく出会えたのに、ナミさんが運命の人じゃなかったのは悲しいが、ナミさんは、今まであの島で苦労して生きていたんだ。それが漸く魚人の支配から解放されたんだ。これからは幸せになってもらいたいじゃねぇか。・・・ナミさんが幸せなら、俺はそれでいい。」

ナミを見つめるサンジの眼は、まるで妹を想いやる兄のようだった。まだ最近知り合ったばかりなのに、まるで家族のような愛。
穏やかに笑うサンジを見て、この船の一味は船長をはじめ、出会うべくして出会った顔ぶれなのだとゾロは思った。

それならば、自分と目の前にいる女性を愛してやまない男も、自分とそういう運命だといい。

「悪ぃが、俺はな・・・・。俺にも気になるヤツがいる。」
「「え!?」」

ゾロの言葉に、二人してゾロを驚きの目で見つめた。

「ゾロ?」
「まさか、それって・・・。」

ナミより先にサンジが後を振り返った。後ろには、鼾を掻いてグースカ寝ている男2人。

「この船には女性はナミさん1人・・・・。って、もしかしたら、それルフィか!?お前、そういう趣味だったのか?断るから、だからナミさんと二人きりになりたがらなかったのか!?」

サンジはいきなり立ち上がり、ゾロの前に来る。胸倉を掴む勢いでサンジがゾロに詰め寄った。

「人の気持ちは押しつけるもんじゃねぇぞ、コック。」
「クッ・・・。」

ゾロの言葉に思わず、サンジが留まる。胸倉を掴もうとしただろう手は宙に浮いたままだ。

「話は最後まで聞け。俺が気になるのは、ルフィじゃねぇ。」
「じゃあ、・・・・田舎に大事な娘でもいたのか?」
「そんなヤツはいねぇ。」
「あ?もしかしたら、ココヤシ村でいい娘でもできたのか?」
「アホか。」
「だったら・・・・ウソップ・・・・?」

なんだか犯人探しのようになってきたサンジにゾロは苦笑した。
ナミは答えがわかったのか、落胆したような、呆れたような顔をして横にいる男を見つめる。

「俺も自分の気持ちを言うつもりなんてまったくなかったんだがな・・・・。」
「ゾロ。」
「でも、ナミにばっか言わせちゃいけないよな。」
「・・・・・・。」

ゾロはサンジを通り越して、ナミを見つめる。それは、仲間への信頼を持った瞳だった。

「ナミ。俺は、お前のことは、好きだ。」

ナミがすっとゾロを見つめた。だが、ゾロの言葉には続きがあった。

「だったら・・・。」
「だが、それは仲間としてだ。お前が戻ってきた時、魚人とのことがあったにせよ、いつ俺達を裏切るのかってことが頭に過ったが、てめぇの様子を見てる限りじゃ、もう仲間として信頼してもいいのがわかる。だからこそ、てめぇのことは仲間としての好意はある。」

サンジの言葉をゾロは、すぐに話を続けて否定した。
ナミはコクリと頷いた。
サンジは、ナミに対して誠意を持って言葉を紡ぎ出したゾロに、もはや口を挟めなくなった。ハラハラしながら二人を見守るしかない。

「それとは別に、俺はどうしちまったんだろうな?・・・・・・今までずっと1人でやってきて、他人のことなんてどうでもいいと思っていた。ルフィと仲間になって、仲間ってやつを大事にする気持ちは、少しずつだが芽生えてきた気もする。が、それだけじゃ説明できないような感情がつい最近、湧きあがってきちまったんだ。」

二人して、静かにゾロの言葉を受けとめていた。寡黙だと思った男が、珍しく一生懸命言葉を紡いでいるような、そんな空気を醸しながらゾロは話をしている。やはり、ゾロは元々話は苦手なのだろう。

「その感情が、しいて言えばきっとナミが俺に持ってくれたような感情なんじゃないか・・・って、さっきナミの言葉を聞いて思った。

「なんだ、そりゃ?さっき気付いたのかよ。そんなんじゃ、お前の勘違いじゃねぇの?」

ガックリ肩を落とすサンジに、ゾロは違うと首を振った。ナミは何も言わない。

「ナミが俺に抱かれてもいい、って言った時、違うって思っちまったんだ。抱きてぇのは、ナミじゃねぇって。」
「は?こんな美女を差し置いて??」

サンジは不思議そうに首を捻っている。きっと、この女好きにはわからないことなのだろう。

「そいつは男で、俺も男だ。元々そういう嗜好がある奴なら兎も角、俺はそういうことは今までなかった。普通ならありえねぇことだ。」
「はぁ・・・・。」

サンジは何か思い当る節が過去にでもあったのか、目が明後日を向きだした。ナミは心配そうにサンジを見つめる。

「単に欲を吐き出す為に抱く。って感情じゃなくて・・・・、なんていうか、ずっとそいつと一緒にいてぇって思っちまった。抱きてぇし、ずっと一緒にいてぇ。それが人を好きになるってことなんだろうな、って思ったら気付いちまった。」
「なんだかなぁ〜。」

サンジは半ば呆れるようにゾロを見つめた。そんな今直ぐにそう気付くものなのだろうか。ナミも多少、サンジと同様に思ったのか、がっくりと肩を落としている。
だが、ゾロからしてみれば、彼なりに本気なのだろうことは、彼の眼からもわかった。

「お前さぁ〜。今まで女の子と付き合ったこと、ねぇ・・・・・んだろうなぁ〜。」
「俺は今まで世界一の剣豪を探してきたんだ。そんな余裕はねぇよ。」
「はぁ・・・・そうですか。」

サンジは思わずペタンと座り込んでしまった。
ナミは苦笑するばかりだ。

「きっと、ゾロって私と同じで1人で生きてきたからそういう感情を持っていることに気付く余裕がなかったのね。私もそう。ルフィやあんた達に会って、人を好きになる気持ちを持つ余裕っていうのか、感情を取り戻したっていうのか・・・そういうことかしら。」
「だな。」

いつの間にか、恋愛不器用な仲間意識でも出来たのだろうか。二人して、ふっと笑い合う。
そんな二人はやっぱり似合いじゃねぇか、とサンジは横目で見て思った。二人が幸せになればそれが一番いいのに。仲間になって日も浅いのに、サンジはそう思った。
サンジは、穏やな気持ちで懐から煙草を取りだした。

が、思いだしたようにゾロは、顔を上げた。

「サンジ。」

突然、名前を呼ばれてサンジはギクリと身体を震わせた。初めて名前を呼ばれた。いや、まだ仲間になって日も浅いから、名前を呼ばれる機会がなかったからと言えばそうでもあるのだが。

「俺が好きなのはてめぇだ。」
「は!?」

突然のことにサンジは口に咥えようとしていた煙草をポロリと落とした。

「な!?てめぇ・・・!?そういう趣味だったのか!!??」
「いや。だからさっきもいっただろうが!今までは、そういう風じゃなかったって!!だから俺も戸惑っちまったんだよ!!」

逆ギレ気味にゾロが声を荒げる。
ナミがシーッと唇に指を当てた。

「その話、ルフィ達にも聞かれてもいい?」

一瞬、ウッとサンジが詰まる。ゾロは別に構わん、といった感じで腕組みをした。自分から告白しておいてなんと態度のでかいことか。
落ちた煙草をそのままに、サンジは座り込んでいた尻を持ち上げ、今度こそゾロの胸倉を掴んだ。でも、気持ち声量を落として。

「てめぇ。やっぱ、スッキリしたいだけじゃねぇのか?で、ナミさんじゃ申し訳ないから俺にターゲットを絞ったな!」
「そんなんじゃねぇ!言っただろうが!抱きてぇが、それだけじゃねぇ!って。ずっと一緒にいてぇって!!」
「それこそ俺とは、まだ会って日も浅い。どうしてそう思うんだ!!暫く一緒に旅をしてきたナミさんなら兎も角、俺はココヤシ村で一緒に戦っただけだ。そんな感情を持つのがおかしい!!」
「俺もてめぇに一目惚れだ!!!アーロンパークでのてめぇの戦い方見て、惹かれちまったし、てめぇの戦い方、ほっとけねぇって思っちまったんだよ!!」
「一緒に戦ったってだけで惚れた!ってなるか!?だったらルフィやウソップだってそうだろうが!!」
「島のパーティの時にルフィからも聞いたが、てめぇの戦い方、危なっかしいんだよ!!」
「ルフィに何聞いたか知らんがな、余計なお世話だ!!悪かったな!それこそ、気にすんな!!俺のやり方に文句言わせねぇ!!」

告白がいつの間にやらケンカになっている。
これは、息が合わないと言うより、きっと息が合うというのだろう。たぶん・・・・。
ナミは、顔をぶつけんばかりに近づけて怒鳴り合っている二人を見てポロリと涙を溢した。

サンジもどうこう言いながらも、きっとゾロと並び立つのは悪い気はしないだろう。それがゾロと同様の感情かはまだわからないが。
ナミは涙を溢しながらため息を吐いた。
どちらかと言えば、この二人は悪友関係になるのかと思ったが、どうやら違うらしい。きっかけはゾロだろうが。

いつの間にやらナミのことなど忘れたかのように、ずっと怒鳴り合っている二人。



フラれちゃったけど、サンジくんならいいかぁ。恨む気持ちが湧きあがらない。

ナミはそう思った。
今すぐ恋人という関係にはならないだろうが、いつかきっとお似合いの二人になるような気がして、ナミは、涙をぐっと拭った。




10.11.17




         




ゾロ誕用に書きだしたけど・・・わけわからなくなりました。すみません。