窓から見える夜空が綺麗だ。
あれから俺と岬はしばらく動けなかったけれど、・・・けれど、往来という事もあり、なんとか平静を装いながら帰ってきた。
岬は今、見上さんが使っていた部屋で寝ている。
俺はといえば、眠れない。考え込んで眠れない。
どうして、あんな事をしちまったんだろう。
―――――――――キス。
日本と違って欧米という所は、やたらスキンシップが好きなのかさり気ない抱擁や軽いキスなどは当たり前だ。俺もそれに慣れたのか、友人やチームメイトとのそんなやり取りもするんだけれど。
今日のキスは違うような・・・。
昼間、サッカーをした時は、元気で全然寂しそうに感じなかったが、さっきの岬は。
寂しくて、切なくて、辛くて。そんな表情で・・・。
岬は女じゃないけれど、守ってやりたい、支えてやりたい。
そんな思いがあの時、俺の中に沸き起こった。
岬 太郎――――――。
初めて会ったのは、南葛小との対抗戦の時で(後日、岬から対抗戦の試合の前に道端で会ってると言われたが思い出せない。)、あの時は、途中から入った岬に『なかなかやるなぁ。』と思った程度だった。
俺はそれよりも、大空 翼の事で頭が一杯だったし。
その後南葛SCのチームメイトになったが、さほど話した事もなかった。大体、岬の隣には常に翼がいたし、俺の周りには修哲のメンバーが俺を囲むようにいた。
だから、本当にゆっくりと岬と話したのは、決勝戦の後だっただろうか。
岬も翼も俺もケガをしたが、翼はロベルトの事がショックで話しかけられる状態ではなかった。それで、翼はお袋さんと一緒に過ごしてたっけ。
周りの皆もすごく翼のことを気にかけて、岬と俺は医務室で二人、長い時間を過ごした。
そういえば、あれからだろうか。岬を見る目が変わったのは。
見た目は女の子のようにかわいくて、しかも穏やかで優しくて、でも、心の内は激しくて。試合の時は表情が全然違っていた。これは、翼や日向なんかも知っている事だろうけど。
しかし、決勝戦の後の岬は、皆や翼との別れを思ったのか、とても寂しそうな顔をしていた。
ただ、あの時は、それを隠そうと必死になって翼を気遣うような話をしたり、俺の足を気遣ったりしていた。(岬の足の方がケガが酷いのに。)
そんな岬を見てるのが、俺はむしょうに辛かったっけ。
そういえば、今日の岬もあの時と変わらない表情だったような気がする。
だから―――――。
だから、そんな岬を見ているのが嫌で、岬にあんな表情をさせたくなくて、俺の手で何とかしてやりたくて・・・。
あのキスは、愛しい者にするキスなんじゃないか。
情けないことに、今まで、ガールフレンドと言う者は何人かいたけど、恋人という所まではいかなかった。
だから、本当には大切な人にするキスってわからないが、でも自分でもなんとなくあのキスは、愛する人への自分の想いを伝えるキス。そんな気がする。
再会するまで忘れてたけれど、でも、あの小学生の決勝戦の後から、心の奥にあった想いなんだろう。
そんな事に気が付いたら、今度は岬の笑顔が見たい。幸せな顔をさせたい。
そんな気持ちが湧き上がった。
なんとかあの寂しい表情を笑顔に変える。
それが、岬がフランスに帰るまでの俺の目標になった。
大切な大切な岬――――――。
自分の気持ちに整理がついて、俺はようやく眠りにつく事ができた。
END
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コメント:続きでございます。が、前回より訳わかんなくなっちゃいました〜。どうしよう〜。(滝汗)しかも、短い。源さま、悩むかな〜と思いきや、さすがO型・・・。単純というか、大雑把というか。いいのか?そんなんで!!
しかも、終わらなかった・・・。こんなハズではなかったのに。もう、これで終わっちゃおうかな〜。
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