愛ではなく?6




「ゾロ・・・・・。ゾロ・・・。」

サンジは押さえこまれながらも、人としての感情を取り戻せと何度もゾロの名前を呼んだ。

「お前が何を思って俺を選んだかはわからねぇが・・・・こうすることでお前が元に戻るんだな・・・。」

ナミやロビンの情報によれば、化け物となった人間は二度と元に戻らないらしい。そのまま、島の住民から退治されるか・・・もしかしたらこの奥の森でひっそりと暮らしているのだろか。詳しいことは分からないが、確かなことは、まだ誰も元の人間に戻ったという話がないことだ。
いた仕方ないだろう。化け物相手だから気づかなかったのだろう。元に戻る方法がこんなことだなんて。
そりゃあそうか、とサンジは内心苦笑する。誰だって恐ろしいし嫌悪する相手だ。普通ならその外見だけ即逃げるだろう。

「化け物に犯されたって耐えられるほどの愛情が必要・・・・ってか?」

一人溢した言葉に、化け物と化したゾロの、毛で覆われた瞳がそっと細められた・・・ように見えた。
ただ、サンジが気づいた方法というのは、正解とは限らない。ゾロから伝わってくる気配で感じた、いわば勘みたいなものだ。もし違えば犯られ損だ。
それでも、レディが傷つけられるよりも何倍もいい。自分は男だ。こんなことはなんでもない、犬に咬まれたと思えばいい。

今までの怪物もだが、・・・・女性ばかりを襲ってたんだな。自分を救ってくれる人間を求めて。

見も知らぬ他人の為に化け物に体を差し出すほどの女性など、まずはいないだろう。例え知り合いだとしても、どう見てもおぞましさしか感じない化け物になってしまっているならば到底無理な話だ。とサンジは思う。

俺も別に平気っちゃわけじゃないが・・・。

それに言葉が話せるわけではないからそれが正解とは限らない。それが正解だと相手から伝わりさえしていない。だからこそ、例え愛する女性がいたとしても誰も気づかなかった。
だからこそ、人間に戻ることができなかったのだろう。
あくまで推測だが。

目の前で迫ってくるゾロからは届くのは、どろどろと垂れてくる体液に、鼻が曲がりそうなほどの悪臭。まるでヘドロ、または汚物の中で行為に及ぼうとしているかのようだ。
それでも、なんとかしてゾロを元の厚顔な剣士に戻してやりたい。世界一を目指して只管寡黙に剣を振い、時たまいちゃもんをつけてケンカをする気のいい仲間に戻ってもらいたい。
あ・・・いや。
ただの気のいい仲間だけでなく。
みんなが寝静まった時、月を眺めながら静かに酒を酌み交わすのが楽しかった。つまらないことでいちゃもんをつけて、まわりが心配するほどの本気でケンカをするのも楽しかった。誰もが足踏みをしそうな強い敵を前に、背中合わせに闘うのが嬉しかった。
そして。
声に出さずとも時々、狂おしいほどの熱を瞳に乗せて伝えてくる劣情。想いを吐き出すことはなかったが、それでも目は口ほどに・・・と言う言葉を体現するような熱い視線にサンジは気づいていた。自分もまた口にすることはなかったが、その視線を心地よく感じる自分がいるのをサンジは知っている。
お互い口にすることはなかったから、ずっといい仲間でいればいいのか。自分の心の内を見せることはないだろうと思っていた。
が、こんなことで見せつけられるとは思っていなかった。
でも。

俺達には、こんな始まり方もいいかもしれねぇな。

鼻が曲がりそうな状況で、そっと穏やかに微笑むことができた。

「ゾロ・・・・こい。」

空いた両手を広げて、ゆっくりとゾロの体を抱き締める。
ゾロは、大きく咆哮すると、今度は今までの勢いが嘘のようにゆっくりとサンジの体に覆い被さった。

「ぅっ・・・・。」

吐きそうになるのをなんとか耐える。
ゾロの手は紛れもなくこの先行われることが容易にわかる動きだ。
獣の本能のまま、それでもなんとかサンジを傷つけない様に優しくしようと努めているのがわかった。本能だけでなく、ゾロの意思も入っているのだろうか。
力任せに破らん勢いでシャツを引き出し、脇から手が体を這ってくる。上手く手が入らないのにじれたのか、ボタンを外そうとするのだが、これもまた上手くいかないため、結局服を引きちぎった。そのあたりは怪物になろうがなるまいがゾロのまま行われそうな行為に、内心サンジは苦笑する。と同時にちょっぴり腹もたった。

結構お気に入りのシャツだったのによ・・・。ネクタイも引きちぎりやがって。

だが、声に出して怒る気にはなれなかった。

どこかから届いてくるまるで観察しているような気配。
それは、二人を囲む木々からチラチラと覗いている。攻撃する気配も様子もないので、そのままにしているが。

ゾロがこうなった原因といえる、ロビンちゃん達が言っていた、森の精霊ってやつか?それにしちゃあ、悪趣味だな。

彼らの意図はわからないが、見たいのならば見せてやろう。それでゾロが元に戻るのならば。本来なら、人、いや人じゃないだろうが、行為を他人に見せる趣味はないのだが。
と、ビクンとサンジの体が跳ねた。
ゾロの舌がサンジの首筋を舐めた。人間ではありえないほどの長さだ。そこからだらだらと唾液が垂れてくるがその量が尋常じゃない。そして、やはりそこからも悪臭が立ち込める。

「ぃ・・・・ぁ・・・。」

耐えてみせる。いや、愛っちゅうのは、何事にも勝るって見せてやる。

ゾロの舌は、首筋から舐めあげてそのまま頬に伸びあがってきた。そして、唇に触れる。

怪物とキスってか・・・?まぁ、ゾロなんだけどよ。

下唇から上唇と順番に舐めていき、薄く開いた口の中へと入ってきて今度は歯まで舐め出した。そのまま歯の裏側にまでゾロの舌が届いてくる。ゾロの舌を通して唾液だろう粘液がサンジの口に流れてくる。あまりの量に、思わずごほっごほっと咳き込むがゾロは気にせず遠慮なくその先を続ける。

「ん・・・・んんっ・・・ぅあ・・・。」

べちゃべちゃと卑猥な音がサンジの耳をつく。喉の奥まで届きそうな勢いでゾロの舌はサンジの喉内を責め立てた。
その間にも、手の方も留まることなくサンジの体を撫で擦る。
脇から入って来ている手は、そのままサンジの胸を弄る。女じゃないから柔らかくもないのに、その手は楽しげにサンジの肌を滑っていく。実際、毛の奥から湧き上がってくる体液により滑るように手が蠢いているのもあるから滑るように感じるのだろうか。
ゾロの手の動きが胸全体を撫でたり、胸の突起といじったりと忙しなく動く。それは、嫌悪を感じているはずのサンジに、同時に嫌悪とは違う感情をも引き出し始めていた。

クソッ。気持ち悪ぃのに・・・気持ちいい・・・。

ゾロから放たれる悪臭と汚泥のような唾液に慣れたわけではないのだが、それでも少しずつサンジの中に劣情を呼び起す。
まるで、唾液に催淫効果があるかのようだ。
気づけば、ゾロの舌はサンジの胸を弄っていた。ベチャベチャとあちこちこれでもかと唾液塗れだが、それがなんともいいようのない快感を呼び起こしているような気がする。
どうせこのまま犯られるのならば、この快感に乗ってしまった方が楽だろう。
そう捉えて、サンジは己の内から湧き上がる欲に素直に乗ってしまう事にした。

「ふ・・・・んんっ・・・・・・・・・ああっっ。」

さっきまでは押し殺したように漏れる息も、今ははっきりとゾロにも届くように声に出す。それに何かを感じたのか、怪物であるはずのゾロの動きもそれまでとは違う、見た目には変わらないが、どこか喜びを持って動いているようになった。遠慮ないように思えてもそれでも僅かだが少し怯えた風にも触れていた手が、それまでとは打って変わって大胆になってきている。
そのまま、ゾロの手は下腹部にまで降りてきた。力のままベルトを引きちぎる。

クソッ!あと、船に帰る時、どうすんだよ!!

瞬間怒りが内心湧き上がったが、それでも声に出さずゾロのさせるままにした。
手は体液を連れながら下着の中にまで入ってくる。ぬちゃぬちゃと音を立ててゾロの手はサンジの中心部に触れた。

ビク

体が大きく跳ねた。背筋がビクビクと震えるのを快感を感じていると取ったのか、ゾロの手は止まることなく形を変えだしたサンジのモノを握りこむ。

「あ・・・あ・・・・あぁ・・・。」

ビクビクと震える体はそれでも正直にサンジが感じていることをゾロに伝えた。
あっという間に成長したそれがわかったのか、ゾロは一気に下着ごと布をはぎ取る。下半身は冷たい空気に一気に触れ、快感とはまた別の感触に震えるが、ゾロは気にも留めずにそのまま両手を使ってサンジの下半身全体を撫でだした。

くちゃくちゃくちゃ

上半身だけでなく、下半身にまでゾロの体液にまみれ、全身がまるでぬちゃぬちゃとした粘液に包まれているようだ。
それは見た目には透明ではあるが、確かに嫌悪を感じる悪臭を放っているはずなのに、いつの間にかそれを上回る快感をサンジに与えていた。

「はあはあはあ・・・。」

息がどんどん上がっていく。
今まで経験したどのSEXよりもサンジを感じさせ、昂らせていく。このままだと、今までにない最短時間で弾けてしまいそうだ。
そんなのは、サンジのプライドが許さない。
サンジは軽く舌打ちすると、自らゾロの体に手を伸ばした。毛で覆われてわからないが、ゾロもまた欲情しているはずだ。そう思い、あるだろう場所に手を潜り込ませた。
案の定、毛でわかりにくくはなっているが、大きな起立がすぐに触れた。

だったら、ゾロも・・・。

ゾロの両手により開かれた太腿を自分から更に広げ、サンジの手でゾロのそれを自分の中心部に導く。
まだ、慣らすどころか、触れてもいないので、このまま挿入に至るのはまずいが、それでもいつまで経っても体を撫でまわすだけでは先に進めない。
サンジの行動にゾロも気づいたのか、開かれたサンジの体に潜りこませるように押しつける。
そして、太腿を弄っていた手の片方を、股の奥底へと伸ばした。体液のおかげか、遠慮なくつるんとゾロの指が奥にある蜜壺に入り込む。

「んああっっ!!」

急に入って来た異物に思わず声が上がった。
それに焦ったのか、ゾロの手が一旦引き抜かれる。その行動にサンジは軽く笑った。
見た目はどんなに変わってしまっても、言葉を発することができなくなってしまっても、これはゾロなのだ。大胆にも思える行動だが、それでもサンジを傷つけまいと必死になっているのがわかった。

「大丈夫だ・・・ゾロ。お前の体から出てる体液で滑りがいいから・・・大丈夫・・・。こい・・・・ゾロ。」

首筋に埋もれた毛の固まりのような顔にそっと口づける。
とたん、ゾロの顔が持ち上がった。表情はまったく見えないがその奥で光る瞳がサンジを気遣っているのに、サンジは気づいた。

「大丈夫・・・ゾロ。例え、どんな姿であろうとお前はお前だ・・・。俺はお前と繋がりたい。」

毛の奥にある瞳が光った気がした。
と、改めてゾロの指が股の奥に入り込んでくるのが、わかった。
痛みはないが、異物感は否めない。
はぁはぁと息を吐いて、違和感を逃す。ゾロはサンジを気遣いながら、それでもぐいぐいと指を先へと進めて行く。
そしてゆっくりとだが、捻るようにしてサンジの中を掻きまわしていく。
それは、まだ慣れないながらもサンジの体の中から新たな快感を引き出していく。己の肉棒は萎えることはない。
気づけば、指は2本へと増やされ、更にサンジの中を掻き乱し、3本へと増えていく。異物感は半端ないが、それでも痛みがないのはやはりゾロから湧きでてきている体液のお陰か。
と、サンジの体が大きく撓った。

「あああっっ!!!」

どこかサンジにはわからないが、とある場所を突かれた途端、これまでにないほどの快感が全身を駆け巡った。
それに気づたのか、気づかないのか、ゾロは遠慮なくそこを攻めていく。

「ひっ・・・・ああっっ・・・・ゾロっっ・・・・ダメだっ・・・・でる・・・・いく・・・・いくぅっっ!!」

足の指先まで撓り、サンジの全身が大きく逸らされた。と、同時に張詰めていたモノが大きく震えて白濁を勢いよく飛ばした。
「ああっっ・・・・あああああっっ!!」

ビクビクと震えが止まらない。こんな快感を持って射精したのは初めてだった。

長く快感を感じていたのだろう。はぁはぁと上がる息がなかなか収まらなかったが、多少落ち着いたところで、サンジはふと気付いた。
ゾロは、サンジが落ち着くのを待っていたらしい。化け物になってさえ、優しいなぁとサンジは思わず微笑む。己の欲を早く発散させたいだろうに。いや、ただ欲を出したいだけでないのだろう。
こんな姿になってですら、サンジと繋がりたい。愛し合いたいと思っているのだろうか。
サンジの心の内がゾロの優しさで満たされていく。

あぁ。好きだなと、サンジは思った。どんな姿であろうと、どんなに醜かろうとサンジはゾロのことが好きだと思った。

「ゾロ・・・・・。」

サンジの口から零れるゾロの名は優しさで満ちていた。
サンジの意図することがわかったのだろう。ゾロもまた留めていた動きを再開する。

「ゾロ・・・・きてくれ・・・。」

穏やかな声で誘った。
一旦は躊躇する仕草を見せたが、でもどこかでサンジの言葉を期待していたように、ゾロはサンジに改めて覆い被さった。

「ん・・・。」

舌でサンジの胸を撫でながら、手は一旦は離れてしまった先ほど触れていた場所へと潜り込む。サンジが頂点に達するまでぐりぐりと解されていたのですでにそこは柔らかくなっていた。が、育ったゾロの起立は大きい。
全員で風呂に入ったりすることもあるので、ゾロの裸を見た事がないわけではないが、勃起した状態までは知らない。しかし、人間に有らざるほどの大きさを毛の中から表しているのは化け物になっている所為だろうか。
どちらにしても、今のサンジにはその育ったものを受け入れる覚悟はすでにできていた。ただ、ちょっと目の前に見えたそれに恐怖の感情が湧きあがっただけだ。

大丈夫だ。なんも恐いことはねぇ・・・。

目を閉じて、己に云い募る。
ぎゅっとゾロを抱く腕に力が入った。それに気づいたのだろう。ゾロが一生懸命に気遣う様子が、なんとなくだがサンジに伝わる。

「大丈夫だ。俺が強ぇの知ってるだろうが。」

ちゅっ
ニコリと笑って自分からゾロに口付けた。
サンジのキスにゾロの眼が細められた。最初、化け物になった時とは打って変わって穏やかな瞳だ。あの時は、本当にゾロもパニックになってしまい、本能のままに動いてしまったのだろう。あの時の事が悔やまれるとその瞳が訴えている。
そして、今、改めてサンジへの愛情を、サンジからの愛情を感じているとその瞳は語っていた。

「好きだ・・・。ゾロ、愛してる・・・。」

そう呟いた。
と。何かしら呻き声のようなものがゾロの喉奥から零れた。それは言葉にはなっていなかったが、サンジにはわかった。

「そっか。お前も俺のこと、好いてくれてるんだな・・・。」

お互いに悪臭とひどい粘液にまみれ、そして片方は人間ではない化け物。
なのに、これ以上ないほどの感情に覆われていた。

「ゾロ・・・・。」

サンジが再度、ゾロの名前を呼んだ瞬間。ぐっと下半身に今まで感じたことのない圧迫感が迫ってきた・・・。
はぁはぁと息を短く吐いてその圧迫感を逃がす。痛みは溢れる粘液のためか、感じなかった。滑るため抵抗なくそのままぐっぐっと遠慮なく入ってくる。

「あ・・・・・あぁ・・・・・・ああっっ。」

入ってくるままに圧迫感は強くなる。ふぅふぅ息が荒くなるのは仕方がないことだが、それを気にしてゾロの動きが止まった。

「大丈夫だ。ゾロ。大丈夫だから・・・。」

さらにぎゅっとゾロを抱き締めた。サンジの言葉にゾロは一旦は止めた体をもう一度そのまま進める。
といつもの自分の体と大きさが違うのに今頃気づいたかのように、上手く進めないのか体勢を少し変えた。
途端。

ぐりっ

「ああああっっ!!」

サンジの悲鳴が上がった。が、それは痛みを感じる悲鳴ではなく。

「あ・・・俺・・・・あぁ・・・。」

体の奥底から湧きあがる快感。
先ほどの射精とはまた別のなんともいえない気持ちよさ。
サンジの様子に何かを感じたのだろう。ゾロはその体勢のままぐいぐいと体を進めてきた。

「あ・・・・ダメだ・・・ゾロ・・・それ・・・ああっっ。」

声は否定をしていても声音はそうは言っていない。
サンジの体が熱を上げた。

「あっああっ・・・んんっ・・・あああっっ!!」

ビクビクと背を撓らせて強すぎる快感を逃そうと試みるができない。止まらない。
サンジの様子に気を良くしたゾロは、そのまま大きく腰を振った。

「ひっ・・・ゾロっ・・・ひいいっっ・・・。ゾロゾロっ・・・ゾロっっ!!」

もはやゾロの名前を呼ぶことしかできなくなった口は己の感情のコントロールが利かなくなったことを表すように唾液がだらだらと零れている。

はっはっはっはっ

ゾロの息も荒い。ゾロもまたサンジに興奮している。
体に纏わりつく体液が飛び散るほどに動きが速くなった。


もう・・・・イク。


「あああああっっっ!!」

ゾロもまた大きく体を震わせた。
体の奥にゾロの飛沫を感じ、サンジもまた大きく体を震わせながらそのまま気を失っていった。



12.10.09




               




     
     エロがぬるくてすみません。精進・・・無理かなぁ〜。