スキャンダル ――2――
あれから岬は、やはり上手く裏口から出て、なんとか家まで辿り着いた。
「ハァ、やんなっちゃうよなー。」
ぶつぶつと独りグチりながら、車を降りる。
「あれ?今朝、電気消し忘れたっけ?」
丁度、駐車場から自宅マンションの部屋が見えるのだが、何故か、電気がついていた。
不思議に思いながらも、(まさか、レポーターが家の中にまで入れないだろうから・・・)と電気の消し忘れと独り納得したのだが、やはり、玄関まで来て見ると。
「??」
家の鍵まで開いている。
(ま・・まさか、泥棒??)
シューズ等の入ったバッグを武器がわりに身構え、ゆっくりと音がしないように中へ入っていった。
(???あれ?奥から、聞いた事のある声・・・)
一番奥のリビングから、岬には久しぶりの声が聞こえてきた。
(そういえば、玄関に靴があったような・・・。)
「まいったなあ、どうやって聞こう・・。・・・どういうつもりだ!・・なんていきなり怒ると、反感かうかなあ?
それとも、・・岬、俺に言う事はないか?・・なんか、態度でかいかなあ。う〜〜ん、・・俺は絶対別れないからな!・・とーとつ過ぎるかなあ・・。ハァ〜〜。」
ドアの向こうでウロウロしながら、独り言を言ってる。
岬は驚いたのと同時に、妙にうれしいやらおかしいやら・・。
クスクスクス笑いが漏れてしまった。
その笑い声はもちろん、ドアの向こうの彼に聞こえた。
「・・・っ。岬っ!?いつの間に・・」
瞬間、耳まで赤くなっている若林を見て、よけいおかしくなった。
「いつ日本に来たのさ。知らなかったよ。教えてくれれば、空港まで迎えにいったのに。」
まだ言いながら、クスクスと岬は笑っている。
「冗談!!お前、今、話題の人じゃねーか!そんな・・・。そっ、そーだ!あの記事!?」
言われて、今度は岬が赤くなる。
「な・・なんで若林くん、週刊誌の事・・。ドイツになんか、売ってないだろ?一体どうやって・・・?」
「ただ単に面白がってだと思うんだが、来生達から、例の週刊誌が送られてきたんだ。」
「ハァ〜〜〜」
(何てことを・・・)
岬は思いきりため息をついて肩を落とした。
仕方がない。彼らはふたりの仲を知らないのだ。冗談と近況報告を兼ねて、若林に送ったのだろう。
「どういうことか、教えてもらおうか?」
どかっとソファに腰を落とす。
すでにさっきの練習はどこへやらである。
「どこから説明すればいいのかな・・・。」
考えながらも、岬はとりあえずコーヒーでも入れるネとキッチンに向かった。
コーヒーもかなり冷めてきた頃、今までムッとしていた表情だった若林が今度は笑い出した。
「それじゃあ、お前、その優子ってアイドルがただ単に酔っ払いなだけじゃないか。」
「う〜〜〜ん、だからこっちは困ってんじゃないか!向こうのイメージもあるし、どうやってインタビューに答えればいいか・・・。」
上目使いに岬が言う。
原因が判った若林は、すでに余裕の顔。冷めたコーヒーをすすりながら、そんなの・・・と答える。
「ほかっとけばいいだろ!お前、芸能人じゃないんだし。まぁ、でも、サッカー界のアイドルとでもいうのかなあ。回りがやはり五月蝿いってことは。」
キッと岬が睨む。あわてて、若林はコーヒーを飲みながら、天井を見る。
「そうだよね。本当だか嘘だかわかんない様な記事にあわててドイツから飛んでくるお方も居るほどだし・・ね。」
「うっ・・・・。」
若林の手が止まる。
「ほら、コーヒー、冷めちゃったろ。煎れなおしてくるよ。」
立ちあがると若林と自分のカップを持って、キッチンへ入る。
歩きながら、
「でも、・・・ここまで来るほど、気になるなんて・・・うれしいな。」
ボソッとこぼしたセリフ。
しっかり聞こえた若林は、やはり、顔を赤くした。
「・・ぁったり前だろ。」
ふたりは黙ったままだった。
時計はすでに9時を回っていた。
ソファに戻った岬は手を顎に預け、若林は腕を組んだままボ―ッとしていた。
言葉を交わさなくても、なんとなく幸せな気分・・・。
ずーっとこうしててもいいかな、なんて思いながらもそういう訳にもいかず。
「ねぇ、お腹すかない?」
岬が先に口を開いた。
「う・・ん。そういえば、俺、日本に着いてから食事、してなかったっけ。」
「ね、今から作るのも面倒だから、どこか外、食べに行こう?」
「いいのか?外、大丈夫か?」
ちょっと心配そうに尋ねる。
「大丈夫だよ。最近はこんな時間まで見張ってないし、若林くんだっているんだから。この時間で開いてる所といったら・・・。どっか、行きたい所、ある?」
覗きこむように尋ねる。
「そうだな・・。う〜〜ん、居酒屋行こうぜ!騒がしいし、人も多いから、かえって回りも気にならないだろう。ドイツでもそうだけど、日本の居酒屋の雰囲気ってなんか、好きなんだ。」
「そうだね、たまにはいいかな。じゃあ、行こっか。」
上着を手に取ると、早速外に出た。
帰り、久しぶりに会えたのと、楽しく食事が出来たことで若林がハメを外して無防備にも岬の頬にキスをしたのは後で後悔の種となったのは言うまでもない。
翌週の週刊誌の写真に岬はますます頭を痛める。
(今度はちゃんと言い訳考えなきゃ、ヤバイぞ・・・)
ドイツまで芸能レポーターが飛んで行ったかどうか・・・は、定かではない。
END
コメント:やっぱ、源岬は甘甘が1番!(甘甘になってない?)う〜〜〜ん。
まあ、とりあえずは、こんなところからでしょうか。
っていうかあ、最初だから・・。(涙)源様、ちょっとおまぬけ?
しかし、優子はどうなったのか?←いいの!一人相撲をとってなさい!!
じゃっ、沖縄に修行行ってきます!(修行好きです。でも忍耐はないかな。)