初恋 ―結実編・後編― (高校生編)
バタンと大きな音を立てて扉を開ける。 そのまま、若林は岬と一緒にベッドに倒れ込み、押さえつけた。 ギシリと軋む音がした。 剥ぎ取る勢いでシャッのボタンに手を掛け外した。かなり乱暴にしたせいか、2・3釦、外れ飛んだかもしれない。 ぶるっと岬が震えた。 その様に若林の手が止まった。ハッと我に返ったようだ。 「す・・・すまん。乱暴にしたい訳じゃない。・・・・だが、俺が言いたいことは、こう言う事なんだ。」 そう溢し、体を起こす。 ただの脅しだけのつもりで、若林は岬の服を合わせようとした。しかし、岬は己の手を若林の頬に添えて若林を制止する。 「うう・・ん。お兄ちゃんの本心がわかった。・・・いいよ・・・抱いて・・。」 「みさ・・・き・・。しかし・・・。」 「いいんだ。さっきも言ったでしょう?お兄ちゃんにはとってまだまだ大人とは言えないだろうけど、僕だって、あの頃の小さな泣くだけの何も知らない子どもじゃない。そういうことのわからない歳じゃないから。」 「みさき。しかし・・・!」 「僕だっておにいちゃんのこと、好きで・・・。一緒にいられるのなら、どんなことでも平気だよ・・・。お願い・・・。抱いて・・・。」 「みさき・・・。」 岬はゆっくりとその脚を開いた。 若林はその動きに触発されたように岬にキスをした。 「・・・うんっ・・・。んふっ・・・。・・・・・はあぁぁっ・・。」 照明の点いていない暗い部屋の中に響き渡る艶のある声が若林を性急に岬を求めさせる。 初めてということで、羞恥心が岬の心を支配しているのか。言葉では、「大丈夫」といいながら、無意識に岬の腕が若林の胸を押し退けようとした。 が、その行動も若林にはかわいい仕草にしか見えない。 若林は岬の手を取るとそれをゆっくりと舐めだした。ぴちゃりと音がする。 空いたもう片方の手は、すでに全てを脱がされて露わになった岬自身を扱いていた。そこもすでに先走りに蜜が出ており、若林の手によりくちゅくちゅと音がする。 若林の動きだけでなく、薄暗い空間の中に響き渡る猥らな音に支配されていく。最初は強張っていた岬の身体は少しずつではあるが、緊張が解けていった。 時々、岬の身体がビクッと跳ねる。 その様子に若林は目を細め、さらに岬を追いたてた。 もはや扱いている手は先濡れの汁でベトベトになっており、岬の限界が近いのがわかった。 若いなぁ、と若林は岬の反応の早さに苦笑する。 「・・・はぁっんっ。・・・おにい・・・ちゃん・・・おね・・がい・・。もう、・・・ぼくぅ・・・。」 若林が顔を覗きこむと、赤く蒸気した頬に涙で濡れていた瞳が解放を訴えていた。 「おに・・い・・ちゃ・・・んんぅぅ・・・。」 もう変声期を終えたはずなのに、少し高めのソプラノボーイの声。若林を狂気へと誘う声。普段とは違う色を含んだ艶やかな声。 その声に魅せられるように若林は、岬に深く、激く唇を合わせた。ずるっと舌を押し入れて、さらにもっと奥を感じようとした。 「んくっ。・・・う・・・ふぅぅっっ・・。あぁ・・・ぁふっ・・・。」 あまりの激しい口付けに息も出来きず、岬は身体を捻りながら空気を求めた。しかし、その様は若林には自分を煽っているようにしか見えなかった。岬の口の端から流れる唾液。 若林はそれを追うようにして己の唇を下へと下げていき、そのまま岬の喉元へと降ろしていく。 ビクッ と岬の身体が跳ねる。 「いやあぁぁ・・・。」 高い悲鳴ともとれる声は、しかし、掠れてしまい、更に若林を煽った。 これほど感じるなんて、岬・・・、敏感な体質か? 顔を上げ、上から岬を眺めると暗いながらにピンク色に染まった肌が綺麗に見えた。所々には汗が浮き出て、胸もはぁはぁと上下している。恥かしいのか顔を横に背けたままに、瞑った目から溢れる涙は止まることを知らない。 細やかな肩のラインから降りてくる腕はそのままシーツを握る手まで一直線に滑らかに繋がり、また腰から脚にかけても余分な肉が付いておらず、まるで女性のそれとさほどかわらない、いやそれ以上に綺麗な線を紡いでいた。 若林はその岬の全てを、見逃さないように、しっかりと目に焼き付けようとじっくりと眺めると、それに気が付いた岬が恥かしそうに訴える。 「おにい・・ちゃん・・・。はずか・・し・・い。見ない・・・・で・・・。」 ピンクに染まった頬はさらに赤みを増す。 そのあまりのかわいらしさに、若林はそっと岬の頬に手を添えた。優しい笑みを溢れんばかりに、俯いている顔に向ける。 「みさき・・・みさき。」 名前を呼ばれて少しだけ岬は目線を上げた。 「俺を見てくれないか?」 チロッと上目遣いに若林を見上げた。 そこには、ニコニコと笑いかける若林の顔があった。 「おにい・・・ちゃん?」 「名前で呼んでくれないか?」 「・・・・・・おにいちゃん・・・。」 「源三・・・だ。」 「うん・・・・。」 岬はちょっと俯いて考える仕草をしたが、ふ、と顔を上げて目の前の愛する者の名前を呼んだ。 「源三・・・。」 「おう・・・。」 「源三。」 「岬・・・。」 若林は嬉しいそうに岬をみつめる。 「俺はお前に会った瞬間からずっとこの時を待っていたのかもしれない・・・。」 「・・・・。」 「おにいちゃんでなく、1人の男として、お前に名前を呼んでもらうのをずっと待っていた・・・。」 「・・・うん。」 「これからは、『おにいちゃん』ではなく、『源三』だ・・・。」 「うん。」 「岬。」 「源三。」 お互いにクスリと笑うと再度唇を交わした。 ちゅっちゅっ、と軽いものから徐々に深いものへと。 お互いの名前を呼び出して、一からやり直しとばかりに口付を交わす。 が、もちろん、双方の身体はすでに昂ぶっていて、もはや後はその一線を越えるだけになっていた。 若いだけあって岬の身体は容易に頂点まで高まるが、それでも初めてのことだ。 若林は、労わりをもって愛撫を施す。 ゆっくりとゆっくりと、胸から脇へ・・・。そして、腰へと手を撫で摩りながら下ろしていった。 あまりの優しさに岬は何度も「大丈夫」を繰り返す。 その言葉に甘えて、若林は岬の秘部に指を這わした。 ビクリ 瞬間、岬の身体に緊張が走る。 それに気が付き、それでも岬の表情を読み取った若林は進めた指を止めることはなかった。 グリグリと蠢く指に岬の身体は逃げをうつがそれを若林は押さえ込んだ。 「みさき・・・岬。辛いかもしれないが、もう、止めるつもりはないから・・・。わかるか?」 「うん・・・。大丈夫だから。早く・・・・、ね。源三、もっと・・・・・シて!」 ギュッと岬が若林に抱きつく。 先ほどから発する『大丈夫』ときつく抱きつく岬の様子に若林は、岬の覚悟を改めて知る。 指の本数を増やし、おくまで差込み、グリグリと動かした。 最初は苦痛の表情を隠せなかった岬も、少しづつ慣れてきたようだ。 それに伴い、うっとりとする顔も見せるようになった。それは、最初に愛撫を施す時に見せたそれよりも更に若林を煽った。 岬の秘所も解れてきたように若林には感じた。ならば・・・。 もやは限界! と、若林は指を抜くと、すでにガチガチに硬くなった己の分身に手を添えた。早く岬の中に入りたいとそこは打ち震えている。 「いいか、岬・・・。」 「うん。来て、源三。」 何度目かの岬の自分の呼ぶ名前に歓喜の雄たけびを上げんばかりに、岬の蕾にグイと入り込んだ。 「!!!」 瞬間、岬の身体が強張るのを感じ、若林は、岬の唇に口付けた。 激しい口付とも思えたそれは、しかし、優しく、それでも、深く、岬の中へと溶け込んでいく。 舌を差込み、くるりと歯の裏側にまで伸びる若林の舌は、岬の緊張を再度解していく。 先端しか入っていない状態で止まったまま、若林は口から顎、頬へと、そのまま岬の顔を舐めて行く。 漸く、岬の身体の緊張が解けてきて、若林は苦い顔をして岬に伝えた。 「痛いかもしれないが、暫くすれば気持ちよくなるから・・・。」 「大丈夫、源三。・・・僕は大丈夫だから・・・。それよりも源三と一緒に・・・。」 顔を染めて横を向いたまま岬が答えた。やはり緊張が取れても恥かしいのは変わらないようで耳まで真っ赤だ。 「・・・・。」 若林は岬の様子に軽く笑うとそのまま身体を進める。 「・・・・ああぁっっっ!!」 それでも行為そのものに慣れているわけではないので、岬は本能的に逃げを打つ。若林は岬の肩を掴み、抱きしめて残りを一気に突いた。 はあっはあっはあっ 短く息を吐く岬にもう一度口付けていく。 絡みつく舌に下半身もそのまま絡ませて、漸く全て入れることができた。 「・・・あぁ・・・・ああぁ・・・・・げ・・げんぞ・・・う・・・・・げんぞう・・・・・・げんぞうっっ。」 息を弾ませて岬が若林の名前を何度となく呼ぶ。その度、若林も岬の名前を呼び答えた。 「ぼ・・・・・・ぼく・・・・・源三と・・・・・ひと・・・つ?」 「あぁ、岬・・・・。漸く一つになれた。岬、このまま一緒にイこう・・・。」 「うん・・・。」 岬がコクリを首を振ると若林はそのまま体をグイグイと揺すった。 「ああぁ・・・・あああっっっ!!・・・・・源三ぅぅうう・・・・!!・・・・・・げ・・・・んぞうっっ!!!」 岬の嬌声を受け止め、若林は更に激しく動く。もはや、岬の身体が痛みだけでなく、快感を拾い出したことを2人の体に挟まった汁を流す岬自身の様に若林は理解する。 今にも、弾けんばかりの岬に若林は手を添えて擦る。 前と後ろからの刺激で、気が狂いそうに岬は首を振った。 「や・・・・やあっっ・・・!いく・・・・・いっちゃうぅぅ!!・・・源三ぅ・・・いっちゃうよぉぉ!!」 「イけっっ、岬・・・!俺も・・・イくから・・・。イけっっ!!」 ビクビクと痙攣を起こし、岬は自分と若林の胸に白濁を飛ばした。 頂点に上り詰めたと同時にきゅうきゅうと締める岬の後孔に若林も絶頂を迎えた。 「・・・・・・離さないからな・・・・。ずっとずっと・・・・・一緒だ。」 「うん・・・・うん。源三・・・。」 岬の頬には今だ止め処なく涙が流れて行く。それは、挿入されたことによる生理的な涙だけではないと、岬も若林も信じることができた。 「好きだ・・・。好きだ、岬・・・。」 「僕も・・・・。僕も、源三のこと好き。」 「誰に何を言われても、お前はずっと俺のものだから・・・・。忘れるな!」 「うん・・・うん。」 舌を絡め、指を絡め、身体を絡め、お互いの存在と思いそのものを確認できた。 この先、どんな難解が2人を待ち受けているかはわからない。しかし、もう、お互いが離れることが出来ない事だけは理解した。 髪を梳きながら若林は岬を見つめる。止まらない涙もそのままに、岬も若林を見つめた。恥かしいだろうにずっと赤い顔をしたまま、それでも恥かしさ以上に若林のことを愛しているとばかりに岬は若林を見つめた。 お互いに見つめ合い、そっと笑いあう。 これ以上ない幸せとこの先を願い、若林と岬は、誓いのキスをした。 |
コメント:エロちょっと短かったかしら・・。一応、これで終わるのは何なので、完結をちょこっとプラス。
(06.02.14)